ハーブ・植物エキス

レモンバームエキス|不安と眠りに寄り添うハーブ

不安感や眠りの浅さが気になる人に向け、レモンバームエキスが気分と睡眠をどのように支えるか、臨床試験の知見と摂り方を一次情報に基づいて解説します。

レモンバームエキス|不安と眠りに寄り添うハーブ
摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

日常のストレスや不安感、寝つきの悪さが続く人に注目される植物成分です。 レモンバームエキス(Melissa officinalis)は古くから使われてきたハーブで、不安感の軽減と睡眠の質を支える可能性が臨床試験で研究されています。 臨床試験では300〜600mg/日を朝食後や就寝前に摂る方法が一般的で、穏やかな作用が期待されます。

  • 主な働き:不安感の軽減と睡眠の質を助ける
  • 摂るタイミング:朝食後または就寝前に300〜600mg
  • 研究段階:複数の臨床試験で有望な結果、長期安全性は検証途上
  • 注意:薬物代謝酵素(CYP450)との相互作用に注意、甲状腺機能低下症の方は医療職と相談
  • 食品例:サプリメントが主体、欧州では伝統的にハーブティーとして利用

レモンバームエキスとは

レモンバームエキス(Melissa officinalis)はシソ科の多年草で、葉に含まれるロスマリン酸やフラボノイドが主要な有効成分です。PMC 欧州では古くから「心を落ち着かせるハーブ」として使われ、ドイツでは神経性の不安や不眠に伝統的に用いられてきました。日本では食事摂取基準が未設定で、主にサプリメントとして利用されます。 レモンに似た爽やかな香りが特徴で、リラックス効果を助けるとされています。

からだでの働きと科学的知見

レモンバームエキスは神経伝達物質GABAの分解を抑制し、脳内のGABA濃度を維持することで不安感の軽減を支えると考えられています。PubMed11の臨床試験(計518名)を対象としたメタ分析では、不安スコアが標準化平均差-0.98、うつスコアが-0.47と有意な改善が報告されています。PubMed 15日間の臨床試験では、不安症状が18%減少、不眠症状が42%減少したと報告されており、睡眠の質の向上にも期待が持たれています。PMC メカニズムとしては、GABA分解酵素の阻害に加え、コリン作動性やセロトニン作動性システムの調整、抗酸化作用による神経保護などが示唆されています。PMC 安全性に関しては、短期使用(4〜12週間)では重篤な副作用は少ないとされていますが、軽度の消化器症状(吐き気、腹部不快感)や眠気を感じる人もいます。

研究テーマ エビデンス強度 補足
不安感の軽減 低〜中 メタ分析で不安スコアに有意な改善報告
睡眠の質向上 低〜中 15日間試験で不眠症状42%減少
認知機能・注意力 一部の研究で注意力向上の可能性
安全性 4〜12週間の使用で重篤な副作用なし

摂り方とタイミング

臨床試験では朝食後または就寝前に300〜600mg/日を摂取し、4〜12週間継続する例が多く、これを参考にすることが一般的です。PubMed 日中の不安感を軽減したい場合は朝食後、睡眠の質を支えたい場合は就寝30分〜1時間前の摂取が推奨されます。レモンバームエキスは効果の発現に時間がかかるため、数週間〜数か月の継続が推奨されます。急激な効果を期待せず、長期的な視点で取り入れることが大切です。 初めて使う場合は少量(例:150〜300mg/日)から始め、体調を観察しながら段階的に増やすと安心です。妊娠中・授乳中の安全性データは不足しているため、該当する場合は医療職と相談してください。

栄養素どうしの関係と注意点

レモンバームエキスは薬物代謝酵素(CYP3A4、CYP2C9など)を阻害する可能性があり、複数の医薬品と相互作用する恐れがあります。PubMed処方薬を服用中の方は、医療職と相談の上で使用を検討してください。 特に甲状腺ホルモン製剤との相互作用が報告されているため、甲状腺機能低下症の方は注意が必要です。PMC マグネシウムナイアシンなどのビタミンB群、神経伝達や気分調整に関わる栄養素が不足していると、レモンバームエキスの効果が十分に発揮されにくい可能性があります。バランスの取れた食事を土台とすることが大切です。 L-テアニングリシンと併用すると、睡眠の質を補完できる可能性があります。

組み合わせ 推奨度 コメント
レモンバーム×甲状腺ホルモン薬 相互作用報告あり、医療職と相談PMC
レモンバーム×CYP450基質薬 薬物代謝酵素阻害、医療職と相談PubMed
レモンバーム×マグネシウム・ビタミンB群 神経機能と気分調整を補完する可能性
レモンバーム×L-テアニン・グリシン 睡眠の質を補完

食品から摂るには

レモンバームエキスは主にサプリメントとして利用され、食品としての流通はほとんどありません。欧州では伝統的に乾燥させた葉をハーブティーにして飲む習慣がありましたが、含有量が一定せず臨床試験との比較が難しいため、現代ではカプセルや錠剤の形が実用的です。 サプリメントを選ぶ際は、ロスマリン酸含有量が標準化された製品を選ぶと、臨床試験と近い条件で使用できます。製造元の品質管理体制や第三者検査の有無を確認することも推奨されます。 日常の食事では、不安や睡眠を支えるマグネシウム(ナッツ、種子、緑黄色野菜)やナイアシンなどのビタミンB群(全粒穀物、卵、魚)、トリプトファン(大豆製品、バナナ)を充足させることが、レモンバームエキスの働きを補う土台となります。

よくある質問

Q. どのくらいで実感できますか?

臨床試験では4〜12週間程度の継続で不安感や睡眠の質の変化が報告されています。個人差があるため、焦らず数週間〜数か月単位で様子を見ることが推奨されます。PubMed

Q. 副作用はありますか?

短期使用では重篤な副作用は報告されていませんが、軽度の消化器症状(吐き気、腹部不快感)や眠気を感じる人もいます。体調に異変があれば使用を中止し、医療職に相談してください。PMC

Q. 夜に飲んでもいいですか?

睡眠の質を支えたい場合は、就寝30分〜1時間前の摂取が一般的です。日中の不安感を軽減したい場合は朝食後に摂ることが推奨されます。摂取タイミングによる効果の違いを検証した研究は限られており、個人差があると考えられます。

Q. 妊娠・授乳中でも使えますか?

安全性データが不足しているため、医療職の指示がない限り使用しないでください。妊娠中・授乳中の方は特に注意が必要です。PMC

Q. 薬との飲み合わせは大丈夫ですか?

レモンバームエキスは薬物代謝酵素(CYP450)を阻害する可能性があり、複数の医薬品と相互作用する恐れがあります。特に甲状腺ホルモン製剤との相互作用が報告されているため、処方薬を服用中の方は必ず医療職と相談してください。PMC

Q. 長期に摂っても大丈夫ですか?

臨床試験では12週間までの使用で重篤な副作用は報告されていませんが、長期安全性のデータは限られています。定期的に休薬期間を設けることも検討してください。また、医薬品との相互作用が持続するため、使用中は定期的に医療職と相談することが推奨されます。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。