甜菜やほうれん草に多いベタイン(トリメチルグリシン:TMG)は、メチル基を提供してホモシステインをメチオニンに再利用するサポート成分です。
近年は運動時の体温調整や水分保持を助ける浸透圧調整物質としても注目されています。
一方で過剰摂取はTMAO産生を介して心血管リスクと関連する可能性があるため、腸内環境を整えつつ適量を守りましょう。
- 主な働き:ホモシステイン低下・メチル化サポート・細胞内浸透圧調整
- 摂るタイミング:朝・昼の食事と共に500〜1,000mg
- 相性:ビタミンB6/B12/葉酸・コリンとメチル化サイクルを補完
- 注意:TMAO増加の可能性があるため腸内環境と心血管リスクをチェック
- 食品例:甜菜、ほうれん草、全粒穀物、海産物
ベタインとは
アミノ酸グリシンに3つのメチル基が結合した化合物で、肝臓や腎臓でホモシステインの再メチル化を助けます。
細胞内の水分を保持する浸透圧調整能もあり、運動時の熱ストレス対策にも利用されます。
からだでの働きと科学的知見
高ホモシステイン血症の成人を対象にしたランダム化二重盲検試験で、低用量のベタインとビタミンB群の併用がホモシステインを有意に低下させたと報告されています。PubMed
ヒートストレス下の男性を対象にした試験では、ベタインが水分保持と耐暑性を改善したとされています。PubMed
一方で腸内細菌がベタインをTMAOへ代謝し、心血管リスクと関連する可能性があるため、腸内環境サポートが重要です。PubMed
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| ホモシステイン低下 | 中 | B群と併用で有意に低下 |
| 耐暑性・水分保持 | 低 | 受動的熱ストレス試験で改善 |
| TMAOと心血管リスク | 低 | 腸内代謝でリスクが示唆 |
摂り方とタイミング
一般的には1日500〜1,500mgを2〜3回に分けて食後に摂ります。
運動30分前に1,000〜2,000mgを摂ると、熱ストレスや脱水が抑えられたという報告もありますが、胃腸への影響を考慮し少量から試してください。
甜菜ジュースやほうれん草のスムージーで自然に補う方法もあります。
栄養素どうしの関係と注意点
葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12が揃っていると、メチル化サイクルが効率的に回り、ホモシステインが安定します。葉酸の記事、ビタミンB12の記事参照。
コリンやカルニチンもメチル化や脂質代謝に関与するため、バランスを取りながら併用してください。コリンの記事、L-カルニチンの記事参照。
TMAO産生を抑えるには食物繊維とプロバイオティクスで腸内環境を整え、魚介・赤肉の過剰摂取を避けることが推奨されます。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ベタイン×ビタミンB群 | ◎ | ホモシステインを効率的に低下PubMed |
| ベタイン×運動前摂取 | ○ | 熱ストレス時の浸透圧を補助PubMed |
| ベタイン高用量×腸内バランス不良 | △ | TMAO増加の恐れPubMed |
食品から摂るには
甜菜(ビーツ)やほうれん草、キノコ、全粒穀物、エビ・カニなどにベタインが含まれます。
ビーツやほうれん草をスムージーに入れる、ボルシチやサラダにするなど、食事に取り入れやすいレシピが豊富です。
サプリは粉末・カプセルがあり、湿気で固まりやすいので乾燥剤とともに保管してください。
