ビタミン

葉酸|細胞分裂とホモシステインを整える

妊娠を考える人や血管ケアを意識する人に向け、葉酸がDNA合成とホモシステイン調整にどう関わるか、適切な摂り方と注意点を一次情報で解説します。

※ 主な作用: DNA合成・細胞分裂・胎児の神経管形成

緑の葉野菜
Photo by Markus Spiske
摂取基準値
RDA(推奨量)240µg
AI(目安量)mcg
UL(耐容上限量)900µg

推奨量(男女共通)、上限量は葉酸サプリメント・強化食品由来

妊娠を希望する人や血管の健康が気になる人に欠かせない水溶性ビタミンです。
葉酸はDNA合成や赤血球の形成に関わり、ホモシステイン代謝を通じて血管の健やかさを支えます。
サプリメントは推奨量に沿って使用し、ビタミンB12不足を隠さないよう定期的な検査を組み合わせましょう。

  • 主な働き:DNA合成とホモシステイン調整
  • 摂るタイミング:食事と一緒に朝・昼へ分けて
  • 相性:ビタミンB12・B6とメチル化サイクルを補完
  • 注意:高用量はビタミンB12欠乏症状を覆い隠す可能性
  • 食品例:枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、レバー、いちご

葉酸とは

葉酸は水溶性ビタミンB群の一種で、1炭素代謝に関与し細胞分裂や DNA 合成を助けます。NIH
日本の推奨量は成人男女ともに240µgDFE、妊娠を計画する女性では通常食に加えてモノグルタミン酸型葉酸400µg/日の補助が推奨されています。厚生労働省
緑黄色野菜や豆類に豊富ですが、熱で壊れやすいため調理法に工夫が必要です。

からだでの働きと科学的知見

穀類への葉酸強化後も神経管閉鎖障害の予防に葉酸が重要であることが報告され、妊娠前からの継続的な補給が強調されています。PubMed
葉酸・ビタミンB12・ビタミンB6はホモシステインをメチオニンへ再利用する経路で協力し、代謝症候群などのリスク管理に役立つ可能性が示されています。PubMed
一方で葉酸の過剰摂取はビタミンB12欠乏による神経症状を覆い隠す恐れがあり、適正量を守ったうえで血液検査を行うことが推奨されています。PubMed

研究テーマ エビデンス強度 補足
神経管閉鎖障害予防 妊娠前からの補給が重要
ホモシステイン調整 B12・B6とともに代謝をサポート
過剰摂取の注意 B12欠乏を隠す可能性

摂り方とタイミング

葉酸は朝食のスムージーや昼のサラダで生野菜を取り入れ、夜は蒸し野菜や味噌汁に短時間加熱で組み込むと損失を抑えられます。
サプリメントは食事と分けて朝・昼に200µgずつ摂ると吸収が安定しやすく、妊娠準備期には400µgのモノグルタミン酸型を追加します。NIH
アルコールや喫煙は葉酸の利用効率を下げるため、生活習慣の見直しも併せて行いましょう。

栄養素どうしの関係と注意点

葉酸はビタミンB12・B6と協調し、メチル化サイクルと赤血球生成を支えます。NIH
高用量の葉酸サプリはビタミンB12欠乏を覆い隠す可能性があるため、B12状態を定期的に確認し、不足があればビタミンB12の記事を参考に補いましょう。PubMed
メトトレキサートなど葉酸代謝に影響を与える薬剤を使用している場合は、主治医と相談して補給量を決定してください。

組み合わせ 推奨度 コメント
葉酸×ビタミンB12 ホモシステインを調整し造血を支えるPubMed
葉酸×ビタミンB6 メチル化サイクルの補完PubMed
葉酸高用量×ビタミンB12不足 神経症状を見逃す恐れPubMed

食品から摂るには

枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、芽キャベツ、アボカド、レバー、いちごなどに多く含まれます。NIH
加熱時間は短く、蒸し調理や電子レンジ加熱で葉酸の損失を抑えましょう。
お弁当に枝豆やブロッコリーを常備し、朝は緑葉野菜入りスムージー、夜はレバーや大豆製品を組み合わせると目標量に近づきます。

よくある質問

Q. 妊娠前はいつから葉酸を摂ればよいですか?

少なくとも妊娠の1カ月前から400µgのモノグルタミン酸型葉酸を追加し、妊娠3カ月までは継続することが推奨されています。NIH

Q. 食事だけで十分ですか?

野菜を多く摂れば可能ですが、妊娠準備期はサプリメントで不足を補うことが一般的です。

Q. 葉酸を摂りすぎると危険ですか?

高用量はビタミンB12欠乏の神経症状を隠す恐れがあるため、上限量1,000µgDFEを超えないよう管理してください。NIH

Q. メトトレキサートを服用していますがどうすればいいですか?

葉酸代謝に関わる薬剤を使用している場合は、主治医の指示に従って補給量を調整してください。

Q. アルコールをよく飲みます。影響はありますか?

アルコールは葉酸の吸収を妨げるため、摂取量に注意し、定期的に血液検査で状態を確認しましょう。

Q. 料理で壊れやすいのを防ぐコツは?

蒸し調理や短時間加熱、スープで煮汁ごと摂ることで葉酸の損失を減らせます。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。