地中海沿岸原産のチェストベリーは、月経前症候群(PMS)や周期不順を穏やかに整えるハーブとして伝統的に用いられてきました。
現代の臨床試験でもPMS症状の改善が報告されていますが、ホルモンに作用するため妊娠希望の有無や既存の治療薬とのバランスを考慮する必要があります。
- 主な働き:PMS症状の緩和、プロラクチン調整、月経周期のサポート
- 摂るタイミング:朝食後に標準化エキス20〜40mg、ハーブティーは乾燥果実1〜2gを煎じる
- 相性:ビタミンB6・マグネシウム・オメガ3で女性バランスを多方面から支援
- 注意:妊娠中・授乳中・ホルモン療法中は医療職に相談、ドーパミン作動薬や経口避妊薬との相互作用
- 食品例:乾燥果実のハーブティー、チンキ、エキスカプセル
チェストベリーとは
学名Vitex agnus-castus。果実に含まれるジテルペン(アグヌシド、アウクビンなど)が下垂体に働きかけ、プロラクチン分泌の調整に関与すると考えられています。PubMedチェストベリーエキスは、ドーパミン作動薬と同様にラット下垂体細胞のプロラクチン分泌を抑制し、この抑制作用はドーパミン受容体遮断薬によって阻害されることが示されています。PubMedチェストベリーエキスに含まれるジテルペンがドーパミンD2受容体と相互作用し、下垂体前葉でのドーパミンD2受容体活性化を介してプロラクチン放出を抑制する可能性が報告されています。PubMed
からだでの働きと科学的知見
月経前症候群に対するメタ解析では、チェストベリーが全体的なPMSスコアを有意に改善したと報告されています。PubMed
臨床試験のレビューでも、PMS、月経前不快気分障害、周期不順など女性特有の症状に有望であるとまとめられています。PubMed
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| PMS症状(身体・情緒) | 中 | メタ解析で症状改善 |
| 女性ホルモンバランス | 低〜中 | 多数の臨床試験で有望と報告 |
摂り方とタイミング
標準化エキス(アグヌシド含有)20〜40mgを朝食後に摂る方法が臨床試験で採用されています。
乾燥果実の場合は1〜2gを15分ほど煎じ、朝と夜に飲むのが一般的です。
PMS改善には3か月程度の継続が推奨されることが多く、症状が落ち着いたら量を減らして維持します。
栄養素どうしの関係と注意点
ビタミンB6やマグネシウムと組み合わせると、PMSに伴う気分や筋肉のこわばりが緩和されやすくなります。ビタミンB6の記事、マグネシウムの記事参照。
オメガ3脂肪酸と併用すると、炎症や痛みのバランスが整い、月経前の不快感が多角的にサポートされます。フィッシュオイルの記事参照。
ホルモン療法(経口避妊薬、ドーパミン作動薬、プロラクチン抑制薬)と併用する場合は、効果を増減させる恐れがあるため医療職に相談してください。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| チェストベリー×ビタミンB6 | ◎ | PMSの気分・身体症状を補完 |
| チェストベリー×オメガ3 | ○ | 炎症性プロスタグランジンを調整 |
| チェストベリー×ホルモン療法 | △ | 薬効変化の恐れがあるため医療職に確認 |
食品から摂るには
乾燥果実をハーブティーにする場合は、すり鉢で軽く砕いてから煎じると有効成分が引き出されやすくなります。
チンキやカプセルは濃度が一定で飲みやすく、第三者検査済みの製品を選ぶと品質が保証されます。
味はややスパイシーで苦味があるため、レモンバームや生姜とブレンドすると飲みやすくなります。
