乾燥しやすい季節や疲れやすい時期に意識したい水溶性ビタミンです。 ビオチンは糖・脂質・アミノ酸代謝の補酵素として働き、肌や髪、爪のターンオーバーを支えます。 卵や大豆など日常の食品から摂り、サプリ併用時は検査干渉や過剰摂取に注意しながら使いましょう。
- 主な働き:補酵素としてのエネルギー代謝支援
- 摂るタイミング:朝昼の食事で分散し水と一緒に
- 相性:ビタミンB群や亜鉛と美容ケアを補完
- 注意:高用量は血液検査(免疫測定)に干渉
- 食品例:卵黄、大豆、ナッツ、サーモン、バナナ
ビオチンとは
ビオチン(ビタミンB7)はカルボキシラーゼ系酵素の補酵素で、エネルギー代謝と脂肪酸合成を支えます。NIH
1日の目安量は成人で50µgとされ、通常の食事で不足することは稀ですが、偏食や長期抗生物質、アルコール多飲などで欠乏リスクが高まります。NIH
欠乏すると皮膚炎や脱毛、神経症状が表れ、医療機関での治療が必要になります。
からだでの働きと科学的知見
脱毛症の補助療法としてビオチンが利用される例があり、欠乏が関与する場合に有効とするレビューがあります。PubMed 皮膚健康のための栄養サプリメントに関するレビューでは、ビオチンを含む各種ビタミン・ミネラル・ポリフェノールが皮膚バリア強化に役立つ可能性が指摘されています。PubMed しかし、十分な量を摂取している人の美容効果は限定的であり、生活習慣の改善や他栄養素とのバランスが重要です。 高用量ビオチンは免疫測定法に干渉し、甲状腺ホルモンや心筋マーカー、HIV検査などの結果を誤判定させる報告があるため、検査前はサプリ使用を医療職に必ず伝えましょう。PubMed
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 脱毛とビオチン欠乏 | 低〜中 | 欠乏例での補助療法に有効性報告 |
| エネルギー代謝 | 中 | 補酵素として三大栄養素代謝を支援 |
| 免疫測定の干渉 | 中 | 高用量で検査結果が錯乱する可能性 |
摂り方とタイミング
ビオチンは水溶性のため、一度に大量摂取しても体内に蓄積されにくく、朝昼の食事と一緒に分散して摂ると効率よく利用できます。
卵は加熱することでアビジン(ビオチン吸収阻害タンパク)を失活できるため、半熟〜固ゆでにして食べましょう。
サプリメントを使用する場合でも、1日100〜300µg程度に留め、検査前は48時間以上休止するなど医療職と調整してください。
栄養素どうしの関係と注意点
ビオチンは亜鉛やビタミンB6・B12とともに髪や皮膚の健康を支えます。亜鉛の記事やビタミンB6の記事も参考にしてください。
腸内細菌もビオチンを合成するため、プロバイオティクスや食物繊維で腸内環境を整えると安定化につながります。NIH
腎不全や妊娠糖尿病など特殊な状況では、医療者の判断のもと用量を決める必要があります。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ビオチン×亜鉛・B6 | ◎ | 皮膚・髪のターンオーバーを支えるNIH |
| ビオチン×プロバイオティクス | ○ | 腸内合成を助けるNIH |
| ビオチン高用量×免疫測定 | △ | 検査結果に干渉する恐れPubMed |
食品から摂るには
卵黄、大豆製品、ナッツ類(アーモンド、ピーナッツ)、サーモン、バナナにビオチンが多く含まれます。NIH
忙しい朝はオートミールにヨーグルト・ナッツ・バナナを加えると、ビオチンと食物繊維を同時に補給できます。
外食が続くときは、ゆで卵や大豆スナックを携帯して不足を防ぎましょう。
