筋トレやランニングで粘りを増したい、翌日の筋肉痛を抑えたい――そんなときに活用されるのがBCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)です。
必須アミノ酸の中でも筋肉で直接代謝され、運動時のエネルギー供給と筋たんぱく質合成スイッチを素早く入れる役割を果たします。
運動前後や長時間運動の途中で摂り、全体のたんぱく質摂取量と肝機能も意識しながら使いましょう。
- 主な働き:筋たんぱく質合成と運動時のエネルギーサポート
- 摂るタイミング:運動前後や長時間運動中に2〜5g
- 相性:ホエイプロテイン・炭水化物・電解質とパフォーマンスを補完
- 注意:肝疾患治療中やアミノ酸バランスが偏る場合は医療職へ相談
- 食品例:肉、魚、卵、乳製品、大豆
BCAAとは
ロイシン・イソロイシン・バリンの3種類で構成される分岐鎖アミノ酸で、筋肉中に豊富に存在します。
ロイシンはmTOR経路を介して筋たんぱく質合成を促進する一方、イソロイシン・バリンはエネルギー生成や疲労物質の抑制に関与します。PubMed
からだでの働きと科学的知見
単回の運動後にBCAAを摂取すると筋肉痛の自覚症状が低下したというメタ解析があり、リカバリー目的での活用が支持されています。PubMed
肝障害患者を対象にしたレビューでは、BCAAが肝性脳症の改善や血中アルブミンの維持に寄与する可能性が示されています。PubMed
一方でBCAA比率が極端に高まり他の必須アミノ酸が不足すると、タンパク質合成が円滑に進まないため、食事全体のバランスが重要です。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 運動後の筋肉痛軽減 | 中 | DOMSを軽減する可能性 |
| 肝性脳症サポート | 低〜中 | アルブミン維持と症状改善を示唆 |
| 筋たんぱく質合成 | 低 | 食事全体のアミノ酸バランスが前提 |
摂り方とタイミング
運動前に摂ると血中BCAAが増え、長時間競技でのエネルギー源として利用されます。運動直後はリカバリー目的でホエイプロテインと併用し、ロイシン含有量(BCAA比率2:1:1など)を確認すると安心です。
日常的にたんぱく質が不足している場合は、まず食事で1日体重×1.2g以上のたんぱく質を整え、その上でBCAAを追加しましょう。
栄養素どうしの関係と注意点
炭水化物や電解質を含むスポーツドリンクと一緒に摂ると吸収が速まり、運動中の脱水や低血糖を防げます。
ホエイプロテインやクレアチンと併用すると筋力と筋量の両面をサポートできます。クレアチンの記事参照。
肝疾患治療中の場合は医療職が推奨する用量を守り、腎機能に不安がある場合も血液検査を受けながら利用してください。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| BCAA×炭水化物 | ◎ | エネルギー補給と吸収をサポート |
| BCAA×ホエイ | ○ | 筋たんぱく質合成を相乗PubMed |
| BCAA高用量×低たんぱく食 | △ | アミノ酸バランスの偏りに注意 |
食品から摂るには
鶏むね肉、赤身肉、魚、卵、乳製品、大豆に多く含まれます。
食事で十分なたんぱく質を確保できている場合、サプリは長時間運動や空腹時トレーニングなど特定のシーンで補完的に使うと良いでしょう。
サプリの粉末は湿気を吸いやすいため、密閉容器に保管し、異臭があれば廃棄してください。
