免疫機能や感染予防が気になる人に向けた酵母由来の成分です。酵母細胞壁は主にβ-1,3/1,6-D-グルカン(β-グルカン)を含み、マクロファージやナチュラルキラー細胞などの免疫細胞を活性化します。上気道感染症の予防や症状軽減、訓練免疫の誘導に関与することが研究で示されています。
- 主な働き:自然免疫の活性化、訓練免疫の誘導、上気道感染症の予防
- 摂るタイミング:朝食時に、食事の有無は問わない
- 相性:単独での使用が一般的
- 注意:一般的に安全、良好な忍容性
- 食品例:酵母β-グルカンサプリメント、酵母細胞壁エキス
酵母細胞壁とは
酵母細胞壁は、主にSaccharomyces cerevisiae(出芽酵母)から抽出される成分で、β-1,3/1,6-D-グルカン(β-グルカン)を主要成分として含みます。β-グルカンはグルコース重合体であり、特定の病原細菌や真菌の細胞壁の構成成分として認識されます。
β-グルカンは複数の細胞表面受容体と相互作用します。これには、補体受容体3(CR3)、ラクトシルセラミド、スカベンジャー受容体、デクチン-1が含まれます。マクロファージや樹状細胞における特定の受容体へのβ-グルカンの結合は、様々なサイトカインの産生を誘導します。PMC
からだでの働きと科学的知見
酵母細胞壁β-グルカンの主な働きは、自然免疫の活性化、訓練免疫の誘導、上気道感染症の予防です。
訓練免疫の誘導
Saccharomyces cerevisiaeβ-グルカンは、訓練された自然免疫応答を増強する強力な生物活性を示します。PMC訓練免疫は、自然免疫細胞のエピジェネティックおよび機能的再プログラミングにより、二次刺激に対する応答が増強される現象です。
上気道感染症への効果
健康な被験者を対象とした試験では、酵母β-1,3/1,6-グルカンが病原体に対する身体の防御維持を助けることが示されています。PMC系統的レビューでは、酵母β-グルカンが上気道感染症の発生率を有意に減少させ、発症回数と持続期間を減少させることが示されました。PubMed
免疫細胞の活性化
β-グルカンは、マクロファージ、樹状細胞、好中球、ナチュラルキラー細胞などを活性化します。補体システムを活性化し、マクロファージとナチュラルキラー細胞の機能を増強することで、宿主の免疫防御を高めます。PMC
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 訓練免疫の誘導 | 高 | 自然免疫細胞の機能的再プログラミング |
| 上気道感染症予防 | 中 | 系統的レビューで効果報告 |
| 免疫細胞活性化 | 高 | 複数の細胞タイプに作用 |
| 安全性 | 高 | 良好な忍容性、重大な副作用なし |
摂り方とタイミング
臨床研究では、1日250〜900mg程度の酵母β-グルカンが使用されています。朝食時に摂取することが一般的ですが、食事の有無は問いません。効果は数週間の継続使用で観察されることが多いため、継続的な摂取が推奨されます。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ビタミンC | ○ | 免疫機能を相互に支える |
| ビタミンD | ○ | 免疫調節を相互に支える |
| 免疫抑制剤 | △ | 相互作用の可能性、医師に相談 |
酵母β-グルカンは一般的に安全で良好な忍容性を示します。β-グルカンは、多様な生物活性と良好な安全性プロファイルを持つ免疫調節物質の有望なグループを代表します。PMC
サプリメントとして摂るには
酵母細胞壁は以下の形態で利用されます:
- β-グルカンカプセル:標準化されたβ-グルカン含量(1日250〜500mg程度)
- 酵母細胞壁エキス:粉末またはカプセル形態
- 高複雑性β-グルカンブレンド:訓練免疫効果を高めた製品
製品の品質と純度が重要です。β-1,3/1,6-D-グルカンの含量が明記された製品を選択することが推奨されます。
