睡眠の質や軽度の不安が気になる人に向けた、ヨーロッパで伝統的に使われるハーブです。バレリアン(Valeriana officinalis)はGABA系への作用を持ち、睡眠の質と不安の管理に関与します。就寝前に継続的に摂り、睡眠習慣改善と合わせて使うのが一般的です。
- 主な働き:睡眠の質向上と不安軽減のサポート
- 摂るタイミング:就寝30分〜2時間前に
- 相性:睡眠衛生の改善と合わせると効果的
- 注意:眠気が残る可能性、運転前は避ける、鎮静薬との併用注意
- 食品例:サプリメントカプセル、ハーブティー、エキス製品
バレリアンとは
バレリアン(Valeriana officinalis)は、ヨーロッパとアジア原産の多年草で、根が薬用部位として使用されます。主要な生物活性成分はバレレン酸で、GABA(γ-アミノ酪酸)系への作用を持ちます。バレリアンは最も広く使用される睡眠障害管理のハーブ製品の一つで、特に若年成人の入眠困難に使用されています。PubMed 睡眠の質や軽度の不安に関心がある人にとって、睡眠衛生を整えつつ、この成分を補助として扱うと安心です。
からだでの働きと科学的知見
バレリアンの睡眠への効果については研究結果が混在しています。2024年の包括的レビューでは、バレリアンが不眠症に効果があるかについて、一次研究とシステマティックレビューに基づくエビデンスは弱い、または結論が出ていないと結論づけられました。PubMed
一方、2024年の新しいバレリアンエキス(VA/Valerian Pdr%2)の研究では、マウスの脳波(ECoG)測定により、睡眠促進効果が観察されました。このエキスは睡眠の質を改善し、GABA受容体とセロトニン受容体への部分的アゴニスト作用が示されました。PMC
作用機序として、バレリアンはGABAの取り込みを阻害し、放出を刺激すると考えられています。また、アデノシン受容体とセロトニン受容体の部分的アゴニストとしても同定されています。バレレン酸はGABA分解酵素系を阻害し、その効果はベンゾジアゼピン類似しています。PubMed
不安への効果として、血液透析患者を対象としたランダム化二重盲検クロスオーバー試験では、バレリアンが睡眠の質、うつ、状態不安を改善しました。PMC
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 睡眠の質改善 | 低〜中 | エビデンス不一致 |
| 入眠潜時短縮 | 低〜中 | 一部の研究で効果 |
| 不安軽減 | 中 | 複数の試験で実証 |
摂り方とタイミング
バレリアンは就寝30分〜2時間前に摂取します。研究では300〜600mg/回(標準化エキス)が使用されており、一般的なサプリメントは400〜900mgです。 効果を実感するには2〜4週間の継続が必要な場合があります。即効性を期待せず、長期的な睡眠習慣改善の一環として使用してください。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| 睡眠衛生改善 | ◎ | 基本的な睡眠習慣が最重要 |
| ベンゾジアゼピン | △ | 鎮静作用増強、併用注意 |
| アルコール | △ | 鎮静作用増強、併用避ける |
| 抗不安薬 | △ | 相互作用の可能性、医師に相談 |
バレリアンは一般的に安全とされますが、朝の眠気、頭痛、胃腸不快が報告されています。運転や機械操作の前は使用を避けてください。妊娠中・授乳中の安全性は確立されていません。
食品から摂るには
バレリアンは以下の形態で利用されます:
- カプセル・タブレット:標準化エキス(バレレン酸0.8%以上)
- ハーブティー:乾燥根2〜3g/カップ、就寝前に
- チンキ:液体エキス(1〜3mL/回)
- 注意点:製品によりバレレン酸含量が異なるため、標準化製品を選ぶ
品質にばらつきがあるため、第三者機関による品質認証製品を選ぶことが推奨されます。
