ミネラル

シリカ(ケイ素)|骨とコラーゲンが気になる人の選択肢

骨の健康やコラーゲンの維持が気になる方に向けて、シリカ(ケイ素)が骨密度やコラーゲン合成にどのように関与するかを、臨床研究の科学的根拠と共に解説します。

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摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

参考値

520 mg(出典: 臨床研究シリカ(ケイ素)。結合組織サポート

骨の健康やコラーゲンの維持が気になる人に注目されるミネラルです。 シリカ(ケイ素、Silicon)は、骨や結合組織に豊富に存在し、コラーゲンの合成や骨の形成に関与することが複数の研究で示されています。 体内では約18g程度が存在し、骨、関節、血管、皮膚、髪、歯、爪などに分布しています。

  • 主な働き:骨密度との関連、コラーゲン合成サポート
  • 摂るタイミング:朝食時、1日あたり5〜20mg
  • 相性:カルシウムやマグネシウムと併用
  • 注意:推奨量を守り、過剰摂取を避ける
  • 食品例:全粒穀物、バナナ、玄米、大麦、海藻類に含まれる

シリカ(ケイ素)とは

シリカ(ケイ素、Silicon)は、地球上で酸素に次いで2番目に豊富な元素であり、人体にも微量ながら存在する必須ミネラルの一つと考えられています。体内では約18g程度が存在し、骨、関節、血管、皮膚、髪、歯、爪などの結合組織に分布しています。

シリカは、コラーゲンやエラスチンといった結合組織の主要な構成成分を束ねる役割を果たし、組織の強度や弾力性に関与すると考えられています。特に、骨の有機マトリックスや軟組織において、グリコサミノグリカンとの結合を通じてコラーゲンとプロテオグリカンの架橋形成に関与することが示されています。

食品からの摂取量は地域や食習慣によって異なりますが、欧米の研究では1日あたり20〜50mg程度の摂取が報告されています。日本では、臨床研究や製品の推奨量として5〜20mg程度が一般的です。

からだでの働きと科学的知見

シリカは、骨密度やコラーゲン合成との関連で研究されています。

骨密度との関連

米国と英国の共同研究であるフラミンガム研究(Framingham Study)では、シリカの摂取量と骨密度(BMD)の関連が調査されました。1日あたり40mg以上のシリカを摂取している参加者は、14mg未満の摂取者と比較して骨密度が約10%高いことが報告されています。

過去30年間の研究から、食事由来のシリカが骨と結合組織の健康に有用である可能性が強く示されており、そのメカニズムとしてコラーゲン合成や安定化、マトリックスの石灰化が考えられています。PubMed2024年のアンブレラレビューでは、動物実験におけるシリカ補給の骨への効果が包括的に検証され、骨密度の増加と骨強度の改善が確認されました。PMCシリカは骨の健康に不可欠な栄養素として認識されており、コラーゲン合成と骨形成の両面から骨の健康を支えることが示されています。PMC

コラーゲン合成への関与

細胞培養実験では、シリカが骨芽細胞における1型コラーゲンの産生と石灰化活性を促進することが示されています。また、シリカはグリコサミノグリカンと結合し、コラーゲンとプロテオグリカンの架橋形成において重要な役割を果たし、1型コラーゲンの合成と骨芽細胞の分化を促進することが報告されています。PMC

結合組織におけるシリカ濃度の低下は、コラーゲン含有量の減少を示す指標となる可能性があります。骨粗鬆症女性を対象とした臨床試験では、コリン安定化オルトケイ酸の補給により、1型コラーゲン形成マーカー(PINP)が有意に増加し、骨形成の促進が確認されました。PMC

研究テーマ エビデンス強度 補足
骨密度との関連 フラミンガム研究で関連を確認PubMed
コラーゲン合成 細胞実験で1型コラーゲン産生を確認
骨形成サポート 低〜中 動物実験で骨強度向上を確認

摂り方とタイミング

シリカの推奨量は、研究や製品によって異なりますが、日本では1日あたり5〜20mg程度が一般的です。欧米のフラミンガム研究では、40mg以上の摂取で骨密度との関連が観察されていますが、日本人の食習慣や体格を考慮すると、より低用量から始めることが推奨されます。

食事と一緒に朝食時に摂取することが一般的です。シリカは水溶性の形態(オルトケイ酸など)で吸収されやすく、食品由来のシリカも体内で利用されます。

骨密度やコラーゲンの変化は緩やかであり、少なくとも3〜6ヶ月程度の継続的な摂取が推奨されます。

栄養素どうしの関係と注意点

シリカは他の栄養素との組み合わせで相乗効果が期待できます。

組み合わせ 推奨度 コメント
カルシウム 骨形成の基本として重要
マグネシウム 骨の健康維持に関与
ビタミンD カルシウム吸収を助ける
ビタミンC コラーゲン合成に必要

注意点として、シリカは一般的には安全性が高いとされていますが、腎機能が低下している方は医師に相談することが推奨されます。また、過剰摂取は避け、製品の推奨量を守ることが安全性の観点から重要です。

食品から摂るには

シリカは、全粒穀物、バナナ、玄米、大麦、オーツ麦、海藻類、ビール(麦由来)などの食品に含まれています。特に、精製されていない穀物(全粒粉、玄米など)には比較的多く含まれる傾向があります。

飲料水にも微量のシリカが含まれており、地域によって含有量は異なります。ミネラルウォーターの中には、シリカ含有量を表示している製品もあります。

食品からの摂取だけで十分な量を確保することは可能ですが、特に骨密度やコラーゲンの健康が気になる方は、サプリメントを利用することも選択肢の一つです。サプリメントには、水溶性ケイ酸塩やコロイダルシリカなど、様々な形態があります。信頼できるメーカーの製品を選び、製品の表示や推奨量に従うことが重要です。

よくある質問

Q. どのくらいの期間摂取すれば良いですか?

骨密度やコラーゲンの変化は緩やかであり、フラミンガム研究のような疫学研究は長期間の摂取を前提としています。少なくとも3〜6ヶ月程度の継続的な摂取が推奨されますが、個人差が大きいため、体調の変化を見ながら継続するかどうかを判断してください。

Q. シリカとシリコンは違いますか?

シリカ(Silica)とシリコン(Silicon)は、厳密には異なります。シリコンは元素(ケイ素、Si)そのものを指し、シリカは二酸化ケイ素(SiO₂)を指します。しかし、栄養学やサプリメントの文脈では、これらの用語は互換的に使用されることがあります。本記事では、生体内で機能するケイ素化合物全般を「シリカ(ケイ素)」と表記しています。

Q. 骨粗しょう症の予防に役立ちますか?

フラミンガム研究では、シリカの摂取量と骨密度の関連が示されていますが、骨粗しょう症の予防や治療については、カルシウム、ビタミンD、マグネシウム、適度な運動など、総合的なアプローチが重要です。シリカはその一環として、骨の健康維持に関与する可能性があります。

Q. 美容サプリとして効果がありますか?

シリカは、皮膚、髪、爪などの結合組織に分布しており、コラーゲンやエラスチンの合成に関与する可能性があります。一部の研究では、シリカの摂取が皮膚の弾力性や髪の質に関与することが示唆されていますが、美容への有用性については、さらなる研究が必要です。

Q. 副作用はありますか?

食品由来のシリカは一般的には安全性が高いとされています。ただし、腎機能が低下している方は、シリカの排泄が適切に行われない可能性があるため、医師に相談することが推奨されます。また、過剰摂取は避け、製品の推奨量を守ることが重要です。

Q. どのような形態のサプリメントが良いですか?

サプリメントには、水溶性ケイ酸塩(オルトケイ酸など)、コロイダルシリカ、植物由来のシリカなど、様々な形態があります。水溶性の形態は吸収されやすいとされています。製品の成分表示を確認し、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが推奨されます。

Q. 妊娠中・授乳中でも摂取できますか?

食品由来のシリカは一般的には安全性が高いとされていますが、妊娠中・授乳中にサプリメントとして高用量を摂取する場合は、医師に相談することが推奨されます。バランスの取れた食事から自然に摂取する分には問題ないと考えられています。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。