ビタミン

ビタミンB2(リボフラビン)|エネルギー代謝を支える水溶性ビタミン

エネルギー不足や肌荒れが気になる人に向け、ビタミンB2が糖質・脂質・タンパク質の代謝をどのように助け、細胞の成長と健康維持に関わるかを一次情報に基づいてやさしく解説します。

※ 主な作用: エネルギー代謝・皮膚健康・成長促進

乳製品
Photo by Anita Jankovic
摂取基準値
RDA(推奨量)男性 1.6mg / 女性 1.2mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づく。推奨量(RDA):男性1.6mg、女性1.2mg(30-49歳)

忙しい日が続いて疲れやすさや肌の不調を感じている人に向けた、エネルギー産生に欠かせない水溶性ビタミンです。 ビタミンB2は体内で補酵素として働き、食事から摂った糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変える代謝反応を助けます。 通常の食事で不足しにくい栄養素ですが、運動量が多い人や成長期には意識的な摂取が役立ちます。

  • 主な働き:エネルギー代謝の補酵素、細胞の成長と機能維持
  • 摂るタイミング:朝食と一緒に、分割摂取も可
  • 相性:他のビタミンB群と合わせると代謝サポートが円滑に
  • 注意:光に弱いため保存方法に配慮、過剰摂取の心配は少ない
  • 食品例:卵、牛乳、レバー、納豆、ほうれん草
  • 推奨量:成人男性1.6mg/日、成人女性1.2mg/日(日本)

ビタミンB2とは

ビタミンB2(リボフラビン)は水溶性ビタミンB群の一つで、体内で補酵素FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)とFMN(フラビンモノヌクレオチド)に変換されます。これらの補酵素は細胞内のエネルギー代謝に不可欠で、食事から摂った栄養素を効率よくエネルギーに変える役割を担います。NIH ODS

体内では合成できないため、毎日の食事から摂取する必要があります。日本人の平均摂取量は推奨量を満たしていますが、運動量が多い人や成長期の子ども、妊娠・授乳期の女性は意識的な摂取が推奨されます。

からだでの働きと科学的知見

ビタミンB2は補酵素FADとFMNとして、体内で200種類以上の酵素反応に関与します。特にエネルギー代謝の中心的な経路であるクエン酸回路(TCA回路)や電子伝達系で重要な役割を果たし、糖質・脂質・タンパク質からのエネルギー産生を助けます。PubMed

エネルギー代謝への関与は、ビタミンB2の最も重要な機能です。細胞内のミトコンドリアで、食事由来の栄養素を分解してATP(エネルギー通貨)を産生する過程で、FADとFMNが電子の受け渡しを担います。この仕組みにより、日々の活動に必要なエネルギーが安定的に供給されます。

抗酸化ネットワークの維持も重要な働きです。ビタミンB2は、体内の主要な抗酸化物質であるグルタチオンの再生に関わる酵素の補因子として機能します。これにより、細胞を酸化ストレスから守る仕組みが円滑に働きます。PMC

皮膚と粘膜の健康維持にも関与します。ビタミンB2は細胞の成長と修復に必要な代謝反応を支え、皮膚・粘膜・目の健康を保つ役割を担います。不足すると、口角炎や口内炎、皮膚炎などの症状が現れることがあります。

研究テーマ エビデンス強度 補足
エネルギー代謝補酵素 200種類以上の酵素で確認された基本的役割
抗酸化ネットワーク維持 グルタチオン再生系を介した報告
片頭痛予防 一部の研究で高用量摂取の有用性を示唆

摂り方とタイミング

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人男性で1.6mg/日、成人女性で1.2mg/日が推奨量とされています。妊娠期・授乳期にはそれぞれ1.5mg/日、1.8mg/日に増量されます。厚生労働省

ビタミンB2は水溶性のため、一度に大量摂取しても吸収量には限界があり、余剰分は尿中に排泄されます。朝食時に摂取すると、日中のエネルギー代謝をサポートしやすくなります。サプリメントを利用する場合は、食事と一緒に摂ることで吸収が安定します。

運動量が多い人やアルコール摂取が多い人は、ビタミンB2の必要量が増える傾向があります。また、光(特に紫外線)に弱い性質があるため、保存時は遮光容器を使うか冷暗所で保管することが推奨されます。

栄養素どうしの関係と注意点

ビタミンB2は他のビタミンB群と協調して働くため、バランスよく摂取することが理想的です。

組み合わせ 推奨度 コメント
ビタミンB2×ビタミンB6 B6の活性化にB2が必要NIH ODS
ビタミンB2×ナイアシン ナイアシンの代謝にB2が関与
ビタミンB2×鉄 B2は鉄の利用を助ける可能性
通常の食事 食品からの摂取では相互作用の心配はほとんどない

通常の食事からの摂取で過剰症の報告はなく、耐容上限量も設定されていません。高用量のサプリメント摂取により尿が黄色くなることがありますが、これは余剰分が排泄されているだけで健康上の問題はありません。

食品から摂るには

ビタミンB2は動物性食品と植物性食品の両方に含まれますが、特に動物性食品に多く含まれます。日本の伝統的な食事では、納豆や牛乳、卵などから自然に摂取できます。NIH ODS

主な食品例と含有量の目安

  • 動物性食品:レバー(牛・豚・鶏)、卵、牛乳、ヨーグルト、チーズ
  • 植物性食品:納豆、ほうれん草、ブロッコリー、アーモンド
  • 強化食品:シリアル、パン(ビタミンB2添加製品)

調理による損失は比較的少ないですが、ビタミンB2は光に弱い性質があります。牛乳を透明な容器で保存すると光分解により含有量が減少するため、遮光性の容器を使うか冷蔵庫内で保管することが推奨されます。加熱調理による損失は小さく、通常の調理法で安定して摂取できます。

朝食に卵と牛乳、昼食に納豆、夕食にほうれん草のおひたしなど、日常的に取り入れやすい食品を組み合わせることで、自然に推奨量を満たせます。

よくある質問

Q. ビタミンB2のサプリメントは必要ですか?

通常の食事で十分量を摂取できるため、多くの人にとって単独のサプリメントは不要です。ただし、厳格なベジタリアンやヴィーガン、運動量が極めて多い人は、マルチビタミンでの補給を検討してもよいでしょう。

Q. 摂りすぎによる健康への影響はありますか?

通常の食事やサプリメントからの摂取で過剰症の報告はありません。水溶性ビタミンのため、余剰分は尿中に排泄されます。高用量摂取により尿が鮮やかな黄色になることがありますが、これは余剰分が排泄されているだけで健康上の問題はありません。

Q. ベジタリアンやヴィーガンでも不足しませんか?

動物性食品に多く含まれるため、厳格なベジタリアンやヴィーガンは注意が必要です。納豆、アーモンド、ほうれん草、強化シリアルなど植物性食品を意識的に摂取するか、ビタミンB2強化食品やサプリメントの利用を検討してください。

Q. 欠乏症はどのような症状ですか?

欠乏症では、口角炎(口の端が切れる)、舌炎、皮膚炎、目の充血や光過敏などが現れます。NIH ODS長期的な欠乏では貧血や神経障害のリスクも高まりますが、日本の一般的な食事では欠乏症はほとんど見られません。

Q. 片頭痛予防に効果があると聞きましたが本当ですか?

一部の研究で、高用量のビタミンB2(1日400mg)が片頭痛の頻度を減らす可能性が示唆されています。ただし、効果には個人差があり、すべての研究で一貫した結果が得られているわけではありません。医療専門家の指導のもとで試すことが推奨されます。

Q. 尿が黄色くなるのは異常ですか?

ビタミンB2を多く摂取すると、余剰分が尿中に排泄され、尿が鮮やかな黄色(蛍光黄色)になることがあります。これはビタミンB2自体の色素によるもので、健康上の問題はありません。水溶性ビタミンの特性として正常な反応です。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。