FloraDApt GI(フローラダプトGI)とは
FloraDApt GI(Intensive GI)は、Kaneka社が開発した3菌株の複合プロバイオティクス製剤で、ストレス性の消化器症状(特に下痢)とメンタルヘルスの改善を目的としています。
この製剤は、多様な腸内環境を持つ地域の住民から分離・精製された臨床菌株を組み合わせており、2022年の日本人健康成人を対象としたランダム化比較試験(RCT)で、ストレス性下痢の軽減とメンタルヘルス改善が実証されています。
配合菌株
- Pediococcus acidilactici KABP-021(CECT 7483): 乳酸産生、免疫調節
- Lactobacillus plantarum KABP-022(CECT 7484): 腸内フローラ改善、バリア機能強化
- Lactobacillus plantarum KABP-023(CECT 7485): 抗炎症作用、酪酸産生菌増加
GRAS認証取得
2024年に、FloraDApt Intensive GIはGRAS(Generally Recognized As Safe:一般的に安全と認められる)ステータスを取得し、50以上の臨床試験で9つの治療領域での効果が示されています。
からだでの働きと科学的知見
FloraDApt GIは、ストレス性消化器症状の軽減、メンタルヘルス改善、腸内フローラの最適化を助けます。近年の研究では、プロバイオティクスが腸脳相関(gut-brain axis)を介して、中枢神経系に対して支持的な影響を与え、うつ病、不安、自閉症、統合失調症、アルツハイマー病などの精神疾患の発生率を減少またはコントロールすることが示されています。PubMedプロバイオティクスは、ストレス耐性、認知機能、睡眠の質を改善する可能性があり、28日間の試験では、短期記憶、注意力、実行機能などの認知機能の有意な改善と、唾液コルチゾールレベル、皮膚コンダクタンス、睡眠の質、不安などの心理生理学的マーカーの改善が確認されています。PubMed
ストレス性下痢の軽減を助ける
FloraDApt GIは、ストレス下での下痢関連症状を有意に軽減します。
作用機序:
- 腸管運動の正常化(過剰な蠕動運動の抑制)
- 腸内pH調整による有害菌抑制
- 腸内フローラバランスの改善
- 腸管バリア機能の強化
2022年のHeliyon誌での日本人成人60名を対象としたRCTでは、4週間のFloraDApt GI摂取により、Izumoスケール(下痢評価指標)で以下の改善が確認されました:PMC
- 便意切迫感(P < 0.001)
- 下痢・軟便の悩み(P < 0.001)
- ストレス関連下痢(P < 0.001)
- 総合下痢スコア(P < 0.001)
メンタルヘルス改善を助ける
FloraDApt GIは、ストレス下でのメンタルヘルスの維持と改善を助けます。
作用機序:
- 腸脳相関(gut-brain axis)を介した神経伝達物質調節
- 炎症性サイトカインの抑制
- 迷走神経を介した中枢神経系への影響
- 短鎖脂肪酸(特に酪酸)の産生増加
2022年のRCTでは、SF-8(Short Form-8)質問票で以下のメンタルヘルス指標が有意に改善しました:PubMed
- メンタルコンポーネントスコア(MCS): P = 0.002
- ロール・エモーショナル(RE)スコア(感情的役割機能): P = 0.002
- メンタルヘルス(MH)スコア(精神健康): P < 0.001
仕事生産性の向上を助ける
FloraDApt GIは、消化器症状による仕事への影響を軽減し、生産性向上を助けます。
作用機序:
- 下痢による欠勤(アブセンティーイズム)の減少
- 出勤しているが体調不良で生産性が低下する状態(プレゼンティーイズム)の改善
- 日常活動への支障の軽減
- QOL(生活の質)の向上
2022年のRCTでは、WPAI-GH(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire-General Health)で以下の改善が確認されました:PubMed
- 下痢による日常活動への影響: P < 0.001
- 総合的な仕事への支障(欠勤+生産性低下): P = 0.010
酪酸産生菌の増加を助ける
FloraDApt GIは、腸内の酪酸産生菌、特にFaecalibacterium属の増加を促進します。
作用機序:
- プレバイオティクス様作用(有用菌の栄養源となる)
- 腸内pH調整による酪酸産生菌に適した環境づくり
- 競合的排除による有害菌の抑制
- 酪酸産生菌の定着促進
2022年のRCTでは、プロバイオティクス群において、Faecalibacterium(酪酸産生菌)の増加と下痢スコア改善の間に有意な相関が確認されました(P = 0.047)。PubMed プラセボ群ではこのような相関は見られませんでした。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| ストレス性下痢の軽減 | 高 | 日本人対象RCTで有意な改善確認 |
| メンタルヘルス改善 | 高 | SF-8スコアで有意な改善 |
| 仕事生産性向上 | 中 | WPAI-GHで日常活動への影響が改善 |
| 酪酸産生菌増加 | 高 | Faecalibacterium増加と症状改善の相関確認 |
摂り方とタイミング
摂取量の目安
研究で使用された用量:
- 1日1カプセル(FloraDApt GI製品の場合)
- 菌数: 製品により異なるが、通常は数億~数十億CFU/日
製品により菌数や推奨用量が異なるため、各製品の推奨用量に従ってください。
効果的な摂取タイミング
朝食前または就寝前:
- 胃酸の影響を最小限にし、生菌の腸管到達率を向上させる
- 特に、空腹時(食前30分~1時間)が推奨
食後:
- 食物が胃酸を緩衝するため、菌の生存率が向上する場合がある
- 製品の形態(腸溶性カプセルなど)に応じて選択
継続期間
短期使用(4週間~2ヶ月):
- ストレス性下痢の軽減
- メンタルヘルス改善の実感
- 2022年のRCT(PMID 36185155)では、4週間で有意な効果が確認されています
長期使用(3ヶ月以上):
- 慢性的な腸内環境改善
- 過敏性腸症候群(IBS)様症状の継続的管理
- 腸内フローラの安定化
併用に関する注意
抗生物質との併用:
- 抗生物質がプロバイオティクスの効果を減弱させる可能性があります
- 抗生物質服用の2~3時間後にプロバイオティクスを摂取することが推奨されます
ストレス管理との併用:
- 適度な運動、睡眠改善、リラクゼーション法などと組み合わせることで、より効果的にストレス性消化器症状を管理できます
栄養素どうしの関係と注意点
FloraDApt GIの配合菌株は、長い食品利用歴史を持ち、2024年にGRASステータスを取得しています。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| FloraDApt GI×抗生物質 | △ | 2~3時間間隔を空けて摂取推奨 |
| FloraDApt GI×ストレス管理法 | ◎ | 運動・睡眠改善・リラクゼーション法との併用で相乗効果 |
| FloraDApt GI×食事改善 | ◎ | 食物繊維豊富な食事と組み合わせることで腸内フローラ改善効果が向上 |
一般的な安全性:
- 2022年のRCT(PMID 36185155)では、重篤な有害事象は報告されていません
- 60名の参加者全員が4週間の試験を完遂しました
- GRAS認証により、米国食品医薬品局(FDA)の安全基準を満たしています
起こりうる副作用(摂取初期):
- 腹部膨満感、ガスの増加、軽度の腹部不快感
- これらの症状は通常、腸内フローラが適応する過程で一時的に生じるものであり、数日から1週間程度で改善することが多いです
注意が必要な方:
- 免疫抑制状態の方(HIV/AIDS患者、臓器移植後、化学療法中)
- 中心静脈カテーテル留置中の方(菌血症のリスク)
- 重症の炎症性腸疾患で入院中の方(医師の管理下で使用)
- 妊娠中・授乳中の方(安全性データが限られているため、医師に相談)
食品から摂るには
FloraDApt GIは、特定の3菌株(KABP-021、KABP-022、KABP-023)を組み合わせたプロバイオティクス製剤であり、通常の食品には含まれません。サプリメントとして摂取する必要があります。
製品選択のポイント:
- 菌株の明記: 製品ラベルにKABP-021、KABP-022、KABP-023の3菌株が明記されているものを選択
- 菌数の確認: 製品により菌数が異なるため、推奨用量を確認
- 腸溶性カプセル: 胃酸の影響を受けにくい腸溶性カプセルを使用した製品が推奨
- 保存方法: 冷蔵保存が必要な製品もあるため、保存方法を確認
類似製品との違い: FloraDApt GIは、ストレス性下痢とメンタルヘルスに特化した菌株の組み合わせです。一般的なプロバイオティクス(ビフィズス菌、アシドフィルス菌など)も腸内環境改善に有効ですが、FloraDApt GIは日本人を対象としたRCTでストレス性症状への効果が実証されています。
