腸内環境やバリア機能が気になる方に向けた、2つの代表的プロバイオティクスを組み合わせた複合菌製剤です。 アシドフィルス・ビフィズス菌複合プロバイオティクスは、Lactobacillus acidophilus(アシドフィルス菌)とBifidobacterium属の菌株を組み合わせたもので、それぞれ異なる腸内環境改善メカニズムを持ちます。 2024年の最新研究では、組み合わせることで単独株よりも強力な抗炎症効果と腸内フローラ改善効果を発揮することが明らかになっています。 小腸で乳酸を産生するアシドフィルス菌と、大腸で酢酸・乳酸を産生するビフィズス菌が相互に増殖を促進し、腸内環境全体の改善に関与します。
- 主な働き:腸内フローラバランス改善・炎症性腸疾患の免疫調節・バリア機能強化・免疫システム調整
- 摂るタイミング:朝食時または夕食時、1日あたり10〜100億CFU(菌数)
- 相性:プレバイオティクス(イヌリン・オリゴ糖)との併用で定着率向上
- 注意:免疫抑制療法中の方は医師に相談、冷蔵保存が必要な製品が多い
- 食品例:ヨーグルト、発酵乳製品(サプリメントのほうが菌数が多い)
アシドフィルス・ビフィズス菌複合プロバイオティクスとは
アシドフィルス・ビフィズス菌複合プロバイオティクスは、Lactobacillus acidophilus(アシドフィルス菌)とBifidobacterium属の菌株(特にBifidobacterium animalis subsp. lactis)を組み合わせた複合菌製剤です。
これらの菌株は、それぞれ異なる腸内環境改善メカニズムを持ち、組み合わせることで単独株よりも強力な抗炎症効果と腸内フローラ改善効果を発揮することが、2024年の最新研究で明らかになっています。
主要な菌株の特徴として、酸・胆汁酸耐性に優れて腸管上皮細胞への付着能が高いLactobacillus acidophilus LA-5と、酢酸・乳酸を産生して腸内pH調整と有害菌抑制に関与するBifidobacterium animalis subsp. lactis BB-12が挙げられます。
からだでの働きと科学的知見
腸内フローラバランス改善(相乗効果):
アシドフィルス菌とビフィズス菌の複合摂取は、単独株よりも強力な腸内フローラ改善効果を示します。
作用機序として、アシドフィルス菌が小腸で乳酸を産生してpHを低下させ、ビフィズス菌が大腸で酢酸・乳酸を産生して有害菌増殖を抑制し、2種の菌株が相互に増殖を促進して定着率を向上させます。
2024年のMolecular Biology Reports誌での動物実験では、LA-5とBB-12の組み合わせが、抗生物質治療後の腸内マイクロバイオーム回復を促進することが確認されました。PubMed 腸内のLactobacillaceae科およびBifidobacteriaceae科の菌数が有意に増加しました。
炎症性腸疾患への免疫調節:
複合プロバイオティクスは、炎症性腸疾患(IBD)の症状緩和と免疫システムの調整を助けます。
作用機序として、Th1/Th2/Treg/Th17バランスの調整(T-bet、RORγt低下、Foxp3、GATA-3上昇)、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-8)の産生抑制、抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生促進、NO(一酸化窒素)産生の抑制が関与します。
2024年のマウス大腸炎モデル研究では、LA-5 + BB-12の組み合わせが、疾患活動性スコア(DAS)と粘膜炎症を有意に軽減しました。PubMed サルファサラジン(SASP)との併用により、さらに強力な抗炎症効果が確認されました(p < 0.001)。
潰瘍性大腸炎患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、L. acidophilus La-5とB. animalis subsp. lactis BB-12の組み合わせが寛解維持に有効であることが確認されました。PubMed 52週間の追跡調査において、プロバイオティクス群は寛解維持率が有意に高く、再燃率が低下しました。
腸管バリア機能強化:
複合プロバイオティクスは、腸管上皮細胞の密着結合(タイトジャンクション)の維持に関与します。
作用機序として、ZO-1(ゾヌリン-1)タンパク質の発現調節、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の活性調整、接着分子(ICAM-1、VCAM-1)の発現抑制、腸管上皮細胞のアポトーシス(細胞死)抑制が関与します。
2019年のNutrients誌での細胞実験では、HT-29腸管上皮細胞において、L. acidophilusとB. animalis subsp. lactisの組み合わせが、TNF-α誘導性のアポトーシスを有意に抑制しました。PMC 複合菌株は、ICAM-1発現抑制において単独株よりも優れた効果を示しました。
免疫システム調整(Th1/Th2/Treg/Th17バランス):
複合プロバイオティクスは、過剰な免疫反応を調整し、免疫バランスの維持を助けます。
作用機序として、TLR2(Toll様受容体2)発現の増加、NF-κB経路の調節(p-p65 NF-κB発現抑制)、MAPK経路の調節(p-p38 MAPK発現抑制)、COX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)発現抑制が関与します。
2019年のHT-29細胞実験では、複合菌株がTLR2を介したNF-κBおよびMAPKシグナル伝達経路を調節し、強力な抗炎症効果を示しました。単独株と比較して、複合菌株はIL-8分泌を最も効果的に抑制しました。
機能性腸疾患の症状改善:
L. acidophilus NCFMとB. lactis Bi-07の組み合わせは、機能性腸疾患患者の膨満感症状を改善することが確認されています。二重盲検プラセボ対照試験では、8週間のプロバイオティクス投与により、膨満感スコアが有意に低下しました。PubMed
抗生物質関連下痢の予防:
マルチスピーシーズプロバイオティクス(L. acidophilus W37、W55とBifidobacterium種を含む)は、小児の抗生物質関連下痢の予防に有効であることが示されています。350名の小児を対象としたランダム化臨床試験では、プロバイオティクス群で下痢発生率が有意に低下しました。PubMed
摂り方とタイミング
摂取量の目安として、Lactobacillus acidophilusは1億~100億CFU/日、Bifidobacterium animalis subsp. lactisは1億~100億CFU/日が推奨されます。製品により菌数が異なるため、各製品の推奨用量に従ってください。
効果的な摂取タイミングとして、胃酸の影響を最小限にして生菌の腸管到達率を向上させる空腹時または食前30分(特に腸溶性カプセルでない製品の場合に推奨)、または食物が胃酸を緩衝するため菌の生存率が向上する食後が推奨されます。
継続期間として、抗生物質治療後の腸内フローラ回復や急性の消化器症状の緩和には短期使用(2~4週間)、炎症性腸疾患の補助療法や慢性的な腸内環境改善には**長期使用(3ヶ月以上)**が推奨されます。
抗生物質との併用: 抗生物質がプロバイオティクスの効果を減弱させる可能性があるため、抗生物質服用の2~3時間後にプロバイオティクスを摂取することが推奨されます。
栄養素どうしの関係と注意点
一般的な安全性:
アシドフィルス菌とビフィズス菌は、いずれも長い食品利用歴史を持ち、一般的に安全と考えられています(GRAS: Generally Recognized As Safe)。
2024年の動物実験では、細胞毒性や体重減少などの有害事象は報告されていません。PubMed また、2019年の細胞実験では、HT-29細胞の生存率に影響を与えませんでした。
起こりうる副作用として、摂取初期に腹部膨満感、ガスの増加、軽度の下痢などの軽度の消化器症状が見られることがあります。これらの症状は通常、腸内フローラが適応する過程で一時的に生じるものであり、数日から1週間程度で改善することが多いです。
注意が必要な方として、HIV/AIDS患者や臓器移植後の免疫抑制療法中の方など免疫抑制状態の方、菌血症のリスクがある中心静脈カテーテル留置中の方、医師の管理下での使用が推奨される重症の炎症性腸疾患で入院中の方、培養基に乳成分が使用されている製品がある乳製品アレルギーの方は、使用前に医師に相談してください。
食品から摂るには
アシドフィルス・ビフィズス菌複合プロバイオティクスは、栄養補助食品(サプリメント)として提供される製品であり、通常の食品からは摂取できません。
プロバイオティクス製品の形態として、最も一般的で携帯性と保存性に優れるカプセル・錠剤、水やヨーグルトに混ぜて摂取可能な粉末、冷蔵保存が必要だが吸収が早い場合がある液体があります。
製品選びのポイントとして、LA-5(L. acidophilus)とBB-12(B. animalis subsp. lactis)の両方を含む製品を選ぶ菌株の確認、各菌株1億CFU以上を含む製品が推奨される生菌数の確認、製品ラベルの保存方法(冷蔵または常温)に従う保存方法の確認、胃酸に弱い菌株の場合に推奨される腸溶性コーティング、品質保証された製品(GMP認証等)を選ぶと安心な第三者検査が重要です。
天然のプロバイオティクス食品との違いとして、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品にもプロバイオティクスが含まれますが、サプリメントは特定の菌株(LA-5、BB-12)を標準化した菌株の特定、サプリメントの方が高濃度(1億~100億CFU/日)の生菌数、サプリメント製品は臨床試験で効果が検証されている研究エビデンスという点で異なります。
炎症性腸疾患の補助療法や腸内環境の集中的な改善を目的とする場合は、標準化された用量のサプリメント製品が推奨されます。
