心血管の健康や抗酸化が気になる方に向けた、ザクロ果実由来のポリフェノール濃縮物です。 ザクロエキスは、プニカラギン、エラグ酸、アントシアニンなどのポリフェノールを豊富に含み、血圧低下、血管内皮機能改善、抗酸化作用に関与します。 複数の臨床試験で血圧低下効果が確認されており、心血管系の健康維持に期待されています。 強力な抗酸化作用でLDLコレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化の予防にも役立つ可能性があります。
- 主な働き:血圧低下・血管内皮機能改善・抗酸化作用・抗炎症作用・脂質代謝改善
- 摂るタイミング:朝食時または空腹時(1日1,000mg程度)
- 相性:ビタミンC・ビタミンEとの併用で抗酸化作用増強
- 注意:血圧降下薬との併用は医師に相談、妊娠中・授乳中は使用前に相談
- 食品例:ザクロ果汁、ザクロ果実(エキスのほうが有効成分濃度が高い)
ザクロエキスとは
ザクロ(Pomegranate、学名Punica granatum)は、中東原産の果実で、古代から薬用・食用として利用されてきた歴史があります。ザクロエキスは、ザクロ果実全体(果皮、種子、果汁)から抽出されるポリフェノールを豊富に含む濃縮物です。
ザクロエキスの主要な有効成分は、ザクロ特有の大型ポリフェノールで強力な抗酸化作用を持つプニカラギン(punicalagin)、プニカラギンが代謝されて生成される抗酸化・抗炎症作用を持つ成分であるエラグ酸(ellagic acid)、ザクロの赤色色素で抗酸化作用を持つフラボノイドであるアントシアニン(anthocyanin)、ケルセチン、ケンフェロール等を含むその他のフラボノイドというポリフェノール化合物です。
ザクロエキスは、プニカラギンが強力なフリーラジカルスカベンジャーとして酸化ストレスを軽減する抗酸化作用、一酸化窒素(NO)産生を促進して血管拡張を助ける血管内皮機能改善、炎症性サイトカインの産生を抑制して慢性炎症を軽減する抗炎症作用の3つの作用により、心血管の健康をサポートします。
近年の研究では、ザクロエキスが血圧の低下、血管内皮機能の改善、脂質プロファイルの改善、抗酸化能の向上に関与することが報告されています。2025年に発表された包括的ナラティブレビューでは、ザクロが炎症、代謝障害、がん、心血管疾患、神経変性、微生物感染、皮膚疾患において治療効果を発揮することが示され、NF-κB、MAPK、AKT1、Nrf2などの経路を調節することが報告されています。PubMed
からだでの働きと科学的知見
ザクロエキスは、心血管の健康と抗酸化作用において重要な役割を果たします。
血圧の低下:
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、健康な成人を対象に、ザクロエキス1,000mg/日(プニカラギン210mg、その他ポリフェノール328mg、アントシアニン0.37mg含有)を4週間摂取させました。その結果、収縮期血圧と拡張期血圧が有意に低下傾向を示し、血漿中の抗酸化能が向上しました。PMC 複数の臨床試験および動物実験により、ザクロ摂取が血圧を低下させることが一貫して示されています。2025年に発表された53件のランダム化比較試験を含むメタアナリシスでは、ザクロ補充により収縮期血圧と拡張期血圧が有意に低下することが確認されました。PubMed
血管内皮機能の改善:
2006年の研究では、プニカラギンを豊富に含むザクロ果実エキス(PFE)が、培養ヒト内皮細胞および高コレステロール血症マウスのアテローム性動脈硬化好発部位において、eNOS(内皮型一酸化窒素合成酵素)発現の増加、ELK-1およびp-CREBの活性化抑制、血管内皮機能の改善を発揮することが確認されました。PubMed これにより、一酸化窒素(NO)産生が促進され、血管拡張が改善されます。ザクロポリフェノールがeNOS遺伝子の転写を促進し、L-アルギニンからNOが生成されます。NOが血管平滑筋に作用し、cGMP(環状グアノシン一リン酸)を増加させ、血管拡張を促進することで、末梢血管抵抗が低下し、血圧が低下します。
抗酸化作用による酸化ストレス軽減:
ザクロエキスは、強力な抗酸化作用を持ち、フリーラジカルの中和、LDL酸化の抑制、抗酸化酵素の活性化により酸化ストレスを軽減します。プニカラギン、エラグ酸、アントシアニンが活性酸素種(ROS)を直接中和し、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼなどの内因性抗酸化酵素を活性化します。臨床試験では、ザクロエキス摂取により、血漿中の抗酸化能が有意に向上することが確認されています。2025年に発表されたシステマティックレビューでは、ザクロの生理活性成分がPI3K/AKT、SREBP-2、SREBP-1、AMPAK経路を通じて、グルコース取り込み、脂質代謝、酸化ストレス軽減に関与することが報告されています。PubMed
プニカラギンは、分子量1,084の大型ポリフェノールであり、プニカラギンの複数のフェノール性水酸基が活性酸素種(ROS)に電子を供与して安定化するフリーラジカルの直接中和、LDLコレステロールの酸化連鎖反応を遮断して酸化LDLの生成を防止する脂質過酸化の抑制、腸内細菌によりプニカラギンがエラグ酸に代謝されてさらなる抗酸化作用を発揮するエラグ酸への代謝というプロセスで抗酸化作用を発揮します。
脂質プロファイルの改善:
ザクロエキスは、脂質代謝に有益な影響を与える可能性があります。複数の臨床試験で、総コレステロールの低下、LDLコレステロールの低下、HDLコレステロールの上昇(一部の研究)、中性脂肪の低下が報告されています。動脈硬化の原因となるLDLコレステロールを低下させ、善玉コレステロールであるHDLコレステロールを上昇させることで、心血管疾患のリスク軽減に寄与します。ザクロエキスは、プニカラギンが銅イオンをキレートしてLDL酸化を防止する銅イオン誘導LDL酸化の抑制、酸化LDLの生成が減少してマクロファージによる取り込みが減少する酸化LDL生成の減少、動脈硬化プラークの形成が抑制される泡沫細胞形成の抑制により、LDLコレステロールの酸化を抑制して動脈硬化の進行を防ぎます。
抗炎症作用:
ザクロエキスは、NF-κB(核内因子κB)シグナル経路を抑制し、炎症性サイトカインの産生を抑えます。プニカラギンがIκBキナーゼ(IKK)を阻害し、NF-κBの核移行を防止することで、TNF-α、IL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカインの産生が減少し、動脈硬化や心血管疾患の原因となる慢性炎症が軽減されます。2024年に発表されたザクロエラギタンニンに関する研究では、プロテインチロシンホスファターゼ1B(PTP1B)阻害活性と抗酸化活性が確認されています。PubMed
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ビタミンC | ○ | 抗酸化作用の相乗効果が期待される |
| コエンザイムQ10 | ○ | 心血管健康サポートの相乗効果 |
| 血圧降下薬 | △ | 血圧低下作用があるため医師に相談 |
| 抗凝固薬 | △ | 抗血小板作用の可能性があるため医師に相談 |
ザクロエキスは、適切な用量(1日500〜1,000mg程度)であれば、一般的に安全性が高いとされています。
報告されている軽微な副作用として、軽度の消化器症状(稀)、アレルギー反応(稀)が挙げられます。
注意が必要なケースとして、ザクロエキスは血圧を低下させるため血圧降下薬との併用時は血圧をモニターすべき血圧降下薬使用中、ザクロエキスは抗血小板作用を持つ可能性があるためワルファリン等の抗凝固薬との併用時は医師に相談すべき抗凝固薬使用中、安全性データが限られているため医師に相談すべき妊娠・授乳中が挙げられます。
摂り方とタイミング
ザクロエキスは心血管健康サポート目的で1日500〜1,000mg(プニカラギン150〜300mg相当)、食事と同時または任意の時間に一日一回摂取します。
摂取のコツとして、プニカラギン含有量が標準化された製品(20〜30%プニカラギン)を選択する標準化製品の選択、血圧低下効果は4週間以上の継続で最大化される継続摂取、ザクロ全果実(果皮、種子、果汁)から抽出されたエキスが最も多様なポリフェノールを含む全果実エキスの選択、心血管疾患の治療を受けている方は使用前に医師に相談する医師との相談が挙げられます。
食品から摂るには
ザクロエキスは、ザクロ果実全体(果皮、種子、果汁)から抽出される濃縮物であり、天然食品からは十分な量のプニカラギンを摂取することが困難です。そのため、サプリメントから摂取することが一般的です。
サプリメント形態として、標準化されたプニカラギン含有量(20〜30%)の製品で摂取量の管理がしやすいカプセル・錠剤、水や飲料に溶かして摂取し吸収が早い粉末タイプ、生のザクロジュースにもポリフェノールが含まれるが糖分も多くサプリメントの方がポリフェノール濃度が高く糖分が少ないザクロジュースがあります。
製品選択のポイントとして、プニカラギン含有量が標準化された製品(20〜30%プニカラギン)を選択すること、ザクロ全果実(果皮、種子、果汁)から抽出されたエキスが最も多様なポリフェノールを含むこと、添加物が少ない製品を選択すること、信頼できるメーカーの製品を選択することが挙げられます。
