記憶力の低下やストレスが気になる人に向けた、脳の細胞膜に存在するリン脂質です。ホスファチジルセリン(PS)は短期記憶の形成、長期記憶の統合、新しい記憶の作成と想起を支えます。毎日継続して摂り、ストレス管理と合わせて使うのが一般的です。
- 主な働き:記憶形成支援とストレス応答の調節
- 摂るタイミング:食事と一緒に、毎日継続して
- 相性:オメガ3脂肪酸と合わせると相乗効果の可能性
- 注意:抗凝固薬との併用は医師に相談、継続が重要
- 食品例:サプリメントが主な摂取源
ホスファチジルセリンとは
ホスファチジルセリン(Phosphatidylserine, PS)は脳の細胞膜に存在するリン脂質で、血液脳関門を通過します。PSは短期記憶の形成、長期記憶の統合、新しい記憶を作成し想起する能力など、ヒトの認知機能を支えます(1日300〜800mg)。PubMed 記憶力低下やストレス管理に関心がある人にとって、生活習慣を整えつつ、この成分を意識すると安心です。
からだでの働きと科学的知見
ホスファチジルセリンの認知機能への効果については複数の研究で示されています。アルツハイマー病患者に対して1日100mg×3回を12週間投与した臨床研究では、認知機能障害が有意に改善し、特に早期段階で効果がありました。PubMed
記憶機能への効果として、ベースラインスコアが比較的低い高齢者において、PS治療群では記憶スコアがベースラインから有意に増加しましたが、プラセボ群では変化がありませんでした。PMC
PSサプリメントは正しい計算に必要な時間を20%短縮し、エラーを39%減少させ、正しい計算数を13%増加させました。PMC
ストレス応答への効果として、PS 800mg/日を10日間摂取すると、身体運動に対するACTHとコルチゾールの応答が有意に鈍化しました。PubMedPSサプリメントは、コルチゾールレベルの増加を鈍化させることで、アスリートにとって望ましいホルモン状態を促進します。PMC
神経質性スコアが中央値以上の若年成人において、1日300mg PSを1か月間摂取すると、ストレスを感じにくく、気分が良好になることが関連付けられました。PubMed
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 認知機能改善 | 中 | アルツハイマー早期で効果 |
| 記憶力向上 | 中 | 高齢者で実証 |
| コルチゾール抑制 | 中 | 運動時の応答を鈍化 |
摂り方とタイミング
ホスファチジルセリンは食事と一緒に摂取することで吸収が良くなります。研究では100〜800mg/日が使用されており、一般的なサプリメントは100〜300mg/日です。 認知機能改善には1日300mg程度、ストレス応答調節には800mg程度が使用されていますが、まずは低用量から始めることが推奨されます。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| オメガ3脂肪酸 | ○ | 相乗効果の可能性 |
| 抗凝固薬 | △ | 出血リスク増加の可能性 |
| コリン作動薬 | △ | 相互作用の可能性、医師に相談 |
ホスファチジルセリンは一般的に安全とされますが、抗凝固薬を使用中の人は医師に相談してください。脂質ベースの成分であるため、脂肪と一緒に摂取すると吸収が向上します。
食品から摂るには
ホスファチジルセリンは以下の形態で利用されます:
- サプリメントカプセル:大豆由来またはヒマワリ由来(100〜300mg/日)
- 注意点:食品からの摂取量は非常に少量で、効果を得るにはサプリメントが必要
- 由来の違い:従来は牛由来でしたが、現在は大豆由来が主流
品質管理された製品を選ぶことが重要です。
