エネルギー産生や代謝が気になる人に向けた非必須アミノ酸です。L-アスパラギン酸はマレート-アスパラギン酸シャトルを介してミトコンドリアと細胞質の間でNADHを輸送し、エネルギー産生を助けます。また、尿素サイクルや糖新生、核酸合成など多様な代謝経路に関与します。
- 主な働き:マレート-アスパラギン酸シャトル、TCAサイクル、尿素サイクル、糖新生
- 摂るタイミング:食事と一緒に、タンパク質源から自然に摂取
- 相性:オキサロ酢酸から体内で合成可能
- 注意:通常の食事で十分に摂取可能、興奮性アミノ酸
- 食品例:肉類、魚類、大豆製品、アスパラガス
L-アスパラギン酸とは
L-アスパラギン酸は体内で合成できる非必須アミノ酸です。アスパラギン酸-グルタミン酸担体を介して細胞質に輸送されたL-アスパラギン酸は、タンパク質および核酸の合成、糖新生、尿素および核酸サイクル、神経伝達に使用されます。また、マレート-アスパラギン酸シャトルを介してミトコンドリアへのNADH送達と酸化還元バランスを維持します。PMC
からだでの働きと科学的知見
L-アスパラギン酸の主な働きは、マレート-アスパラギン酸シャトルを介したエネルギー代謝と、尿素サイクルでの窒素処理です。
マレート-アスパラギン酸シャトル
マレート-アスパラギン酸シャトルは、細胞質のNADHをミトコンドリアに輸送し、エネルギー産生を助ける重要な仕組みです。このシャトルは、TCAサイクルとマレート-アスパラギン酸シャトルの相互作用を強化し、細胞質の代謝状態がミトコンドリアに、またその逆に変換されることを可能にします。PMC
L-リンゴ酸は、TCAサイクル中間体として、エネルギー産生のために細胞質から送ミトコンドリアにNADHを輸送する上で重要な役割を果たします。PubMed
脳では、アスパラギン酸の主要な代謝的役割は、マレート-アスパラギン酸シャトルの一部として細胞質とミトコンドリアマトリックスの間で還元当量(プロトン)をリサイクルすることです。PMC
尿素サイクルでの役割
アスパラギン酸は尿素の第2のアミノ基の供給源です。アスパラギン酸はオキサロ酢酸とグルタミン酸のトランスアミネーション反応により、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ビタミンB6が必要)を介して生成されます。NCBI Bookshelf
尿素サイクルにおいて、シトルリンがアスパラギン酸と反応してアルギニノコハク酸を形成します。NCBI Bookshelf生成されたオキサロ酢酸は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの基質として使用され、アスパラギン酸を生成します。このアスパラギン酸はマレート-アスパラギン酸シャトルによって細胞質に輸送され、尿素サイクルで使用されます。
エネルギー産生とASTの役割
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は、アミノ酸代謝とエネルギー産生において重要な役割を果たす酵素です。ASTは心筋のマレート-アスパラギン酸シャトルの一部であり、肝臓と腎臓の糖新生、脂肪組織のグリセロネオジェネシス、脳における神経伝達物質と神経グリア経路の合成に関与しています。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| マレート-アスパラギン酸シャトル | 高 | NADH輸送の主要経路 |
| TCAサイクルへの関与 | 高 | オキサロ酢酸の前駆体 |
| 尿素サイクル | 高 | 第2のアミノ基供給源 |
| 糖新生 | 中 | 肝臓・腎臓で基質として使用 |
摂り方とタイミング
L-アスパラギン酸は食事から自然に摂取することが基本です。タンパク質が豊富な食品(肉類、魚類、大豆製品、乳製品)に多く含まれています。体内でもオキサロ酢酸から合成されるため、通常のバランスの取れた食事で十分な量を摂取できます。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| タンパク質源 | ◎ | 完全タンパク質源から効率的に摂取 |
| ビタミンB6 | ○ | ASTの補酵素として必要 |
| マグネシウム | ○ | エネルギー代謝を助ける |
L-アスパラギン酸は通常の食事で十分に摂取でき、体内でも合成されます。興奮性アミノ酸として神経系に作用しますが、通常の食事からの摂取では問題ありません。
食品から摂るには
L-アスパラギン酸は以下の食品に多く含まれます:
- アスパラガス:名前の由来となった野菜
- 肉類:鶏肉、牛肉、豚肉
- 魚類:サバ、イワシ、マグロ
- 大豆製品:豆腐、納豆、味噌
- 乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト
タンパク質が豊富な食品を日常的に摂取することで、自然に十分な量のL-アスパラギン酸を摂取できます。
