持久力や空腹時の血糖維持が気になる人に向けた非必須アミノ酸です。L-アラニンは筋肉から肝臓へ輸送され、グルコース-アラニンサイクル(Cahill cycle)を介して糖新生の重要な基質として働きます。特に空腹時や運動時に、筋肉由来のアラニンが肝臓でのグルコース産生を助ける役割を担います。
- 主な働き:グルコース-アラニンサイクル、糖新生の基質、エネルギー代謝
- 摂るタイミング:食事と一緒に、タンパク質源から自然に摂取
- 相性:ピルビン酸から体内で合成可能
- 注意:通常の食事で十分に摂取可能、β-アラニンとは異なる
- 食品例:肉類、魚類、大豆製品、乳製品
L-アラニンとは
L-アラニンは体内で合成できる非必須アミノ酸です。グルコース-アラニンサイクルは、筋肉で形成されたアラニンが肝臓に輸送され、肝臓でグルコースに再変換される代謝経路です。PubMed
末梢組織(主に筋肉)でグルコース由来のピルビン酸がトランスアミネーションによってアラニンに変換され、肝臓に輸送されます。肝臓ではアラニンの炭素骨格がグルコースに再変換されます。このサイクルは空腹時や運動時に重要な役割を果たします。
からだでの働きと科学的知見
L-アラニンの主な働きは、グルコース-アラニンサイクルを介した糖新生への関与です。
グルコース-アラニンサイクル
研究では、血漿アラニン炭素の40.9%が血漿グルコースに由来することが示されています。PubMed肝臓でのアラニンからグルコースへの変換能力は、他のすべてのアミノ酸を上回ります。
アラニンは肝臓での糖新生においてより重要であり、グルタミンは腎臓と小腸での糖新生の主要な前駆体です。PMC
エネルギー代謝における役割
長期絶食時には、骨格筋由来のアラニンが肝臓のミトコンドリア酸化を律速し、ひいてはグルコース産生を律速することが示されています。PMC
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)は、アミノ酸からピルビン酸にアミノ基を転移してアラニンを形成・放出し、骨格筋が有毒なアンモニウムを急速に蓄積するのを防ぎます。
アラニン、乳酸、グリセロールは肝臓に運ばれ、グルコースを合成する前駆体として使用されます。肝臓で生成されたグルコースとケトン体は、飢餓時や運動時に肝外組織に必須の代謝燃料を提供します。PMC
L-アラニン輸注の影響
研究では、L-アラニン輸注により血中アラニン濃度が上昇すると、ケトン生成が増加し、糖新生が逆相関的に減少することが示されています。PMCこれは、血中アラニン濃度がケトン生成と糖新生の両方に影響を与えることを示唆しています。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| グルコース-アラニンサイクル | 高 | 古典的代謝経路として確立 |
| 糖新生への関与 | 高 | 肝臓での主要なアミノ酸基質 |
| エネルギー代謝 | 高 | 空腹時・運動時に重要 |
| ミトコンドリア酸化 | 中 | 長期絶食時に律速 |
摂り方とタイミング
L-アラニンは食事から自然に摂取することが基本です。タンパク質が豊富な食品(肉類、魚類、大豆製品、乳製品)に多く含まれています。体内でもピルビン酸から合成されるため、通常のバランスの取れた食事で十分な量を摂取できます。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| タンパク質源 | ◎ | 完全タンパク質源から効率的に摂取 |
| グルコース | ○ | グルコース-アラニンサイクルの前駆体 |
| ビタミンB6 | ○ | アミノ酸代謝の補酵素 |
L-アラニンは通常の食事で十分に摂取でき、体内でも合成されます。β-アラニン(ベータアラニン)とは異なるアミノ酸であることに注意してください。β-アラニンは運動パフォーマンス向上を目的としたサプリメントとして使用されますが、L-アラニンとは構造と役割が異なります。
食品から摂るには
L-アラニンは以下の食品に多く含まれます:
- 肉類:鶏肉、牛肉、豚肉
- 魚類:サバ、イワシ、マグロ
- 大豆製品:豆腐、納豆、味噌
- 乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト
- 卵:鶏卵
タンパク質が豊富な食品を日常的に摂取することで、自然に十分な量のL-アラニンを摂取できます。
