血糖管理や筋肉維持が気になる人に向けた、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一つで糖代謝に重要な役割を持つ必須アミノ酸です。イソロイシンは肝臓での糖産生を抑制し、グルコーストランスポーターの発現を調節します。運動前後や食事と一緒に摂り、他のBCAAとバランスよく使うのが一般的です。
- 主な働き:肝臓での糖産生抑制と筋肉での糖取り込み促進
- 摂るタイミング:運動前後または食事と一緒に
- 相性:ロイシン・バリンとバランスよく(2:1:1が一般的)
- 注意:高用量摂取は代謝に影響、バランスが重要
- 食品例:肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品
イソロイシンとは
イソロイシン(Isoleucine)は分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一つで、体内で合成できない必須アミノ酸です。BCAAは筋たんぱく質の約35%を占め、骨格筋で直接代謝されてエネルギー源となる特性があります。イソロイシンは特にグルコース代謝の調節において重要な役割を果たします。PMC 血糖管理や筋肉量維持に関心がある人にとって、食事と運動習慣を整えつつ、この成分を意識すると安心です。
からだでの働きと科学的知見
イソロイシンの糖代謝への効果については研究結果が複雑です。イソロイシンとバリンは個別に血糖値を低下させ、肝臓での糖産生を減少させました。3つのBCAA全てが肝臓での糖代謝を中枢的に調節し、その作用は高脂肪食誘発性インスリン抵抗性により妨げられます。PMC
代謝健康への影響として、イソロイシンは代謝健康の重要な調節因子であり、食事BCAAの有害な代謝反応に関与します。ロイシンとイソロイシンのレベル(バリンは除く)はインスリン抵抗性と血糖値と相関しています。PubMed
興味深いことに、痩せたマウスでのイソロイシン制限は代謝健康を促進するのに十分であり、肝インスリン感受性の増加を通じて糖耐性を改善し、脂肪量を減少させました。PMC
グルコーストランスポーターへの影響として、イソロイシンは筋肉でのGLUT1とGLUT4のたんぱく質発現を上方調節し、小腸でのSGLT1とGLUT2の発現を増強することで、筋肉成長と腸発達を促進する可能性があります。PMC
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 肝臓での糖産生抑制 | 中 | ヒト・動物研究で実証 |
| インスリン抵抗性との関連 | 中 | 高濃度は代謝に影響 |
| グルコーストランスポーター調節 | 低〜中 | 基礎研究段階 |
摂り方とタイミング
イソロイシンは通常、BCAA サプリメント(ロイシン:イソロイシン:バリン = 2:1:1)として摂取されます。研究では運動前後に5〜20g/日が使用されています。 BCAAは代謝健康に複雑な影響を与えるため、過剰摂取は避け、食事からのたんぱく質摂取(1.6〜2.2g/kg/日)を基本とすることが推奨されます。PubMed
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ロイシン・バリン | ◎ | BCAAとしてバランスよく摂取 |
| 完全たんぱく質 | ◎ | ホエイ等の方が効果的 |
| 高用量単独摂取 | △ | 代謝への影響、バランス重視 |
イソロイシン単独または高用量BCAA摂取は、代謝に複雑な影響を与える可能性があります。完全たんぱく質源からバランスよく摂取することが推奨されます。
食品から摂るには
イソロイシンは以下の食品に多く含まれます(100gあたり):
- 動物性:鶏むね肉(約1.3g)、牛肉(約1.0g)、マグロ(約1.2g)、卵(約0.7g)
- 植物性:大豆製品(約0.9g)、レンズ豆(約0.8g)、ピーナッツ(約0.9g)
- 乳製品:チーズ(約1.4g)、ヨーグルト(約0.3g)
通常の食事(たんぱく質1.0〜1.5g/kg/日)で十分な量を摂取できます。
