ハーブ・植物エキス

緑茶エキス|EGCG含有の抗酸化・代謝サポート成分

抗酸化や代謝サポートが気になる人に向け、緑茶エキスがEGCG(エピガロカテキンガレート)を主成分として抗酸化作用や代謝促進にどのように関わり、適切な摂取方法を一次情報に基づいてやさしく解説します。

※ 主な作用: 抗酸化作用・EGCG含有・代謝サポート・脳機能サポート

緑茶の葉
Photo by Jia Ye
摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

カフェイン含有の場合あり

抗酸化や代謝サポートが気になる人に向けた、緑茶から抽出された機能性成分です。 緑茶エキスは、カテキン類(特にEGCG: エピガロカテキンガレート)を高濃度で含み、強力な抗酸化作用、代謝促進、心血管系の健康サポート、脳機能サポートなど多様な健康効果が研究されています。 カフェインを含む製品と含まない製品があり、目的や摂取タイミングに応じて選択できます。

  • 主な働き:抗酸化作用、代謝促進、脂肪燃焼サポート、心血管系サポート、脳機能サポート
  • 摂るタイミング:朝・昼が一般的、運動前30〜60分も効果的
  • 相性:カフェインと組み合わせで代謝促進効果向上
  • 注意:肝機能への影響の可能性、空腹時の大量摂取は避ける
  • 一般的な摂取量:250〜500mg/日(EGCG換算で約100〜250mg)

緑茶エキスとは

緑茶エキスは、緑茶(チャノキ: Camellia sinensis)の葉から抽出された濃縮成分で、カテキン類と呼ばれるポリフェノールを高濃度で含みます。主要なカテキン類は、EGCG(エピガロカテキンガレート)、EGC(エピガロカテキン)、ECG(エピカテキンガレート)、EC(エピカテキン)の4種類で、特にEGCGが最も豊富で強力な生理活性を持ちます。PubMed

緑茶エキスの標準化製品では、カテキン含有量が50〜98%に調整され、そのうちEGCGが30〜70%を占めます。製品によってはカフェインを含むもの(1〜10%)と、デカフェ(カフェイン除去)のものがあります。カフェインは緑茶エキスの代謝促進効果を高める可能性がありますが、カフェイン感受性の高い人には不向きです。

緑茶は数千年にわたりアジアで飲用されてきた歴史があり、近年では抽出・濃縮技術により、緑茶を飲むよりも高濃度のカテキンを摂取できるサプリメントが開発されています。

からだでの働きと科学的知見

緑茶エキスは多様な生理機能が研究されており、特に抗酸化作用と代謝促進効果が注目されています。

抗酸化作用は、緑茶エキスの最も重要な機能です。EGCGをはじめとするカテキン類は強力な抗酸化物質で、活性酸素種(ROS)を消去し、酸化ストレスによる細胞損傷を防ぎます。酸化ストレスは老化、慢性疾患、がんなど多くの健康問題に関与するため、抗酸化物質の摂取は健康維持に重要とされています。PMC

代謝促進と脂肪燃焼サポートも重要な働きです。緑茶エキスは、カテキンとカフェインの相乗効果により、エネルギー消費量を増加させ、脂肪酸化(脂肪の燃焼)を促進する可能性があります。複数の研究で、緑茶エキスの摂取により安静時代謝率が3〜4%増加し、24時間のエネルギー消費量が増えることが報告されています。

体重管理と体脂肪減少については、中程度のエビデンスがあります。メタアナリシス(複数研究の統合分析)では、緑茶エキスの摂取により体重が平均0.7〜1.3kg減少し、特に腹部脂肪の減少が認められました。ただし、効果は個人差が大きく、運動や食事制限と組み合わせることでより効果的です。PubMed

心血管系の健康サポートにも関与します。緑茶エキスは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制し、血管内皮機能を改善し、血圧をわずかに低下させる可能性があります。観察研究では、緑茶の定期的な摂取が心血管疾患リスクの低下と関連していることが示されています。

脳機能と認知機能のサポートも研究されています。EGCGは血液脳関門を通過し、脳内で抗酸化作用を発揮します。動物実験や一部のヒト試験では、緑茶エキスが記憶力、注意力、認知機能を改善する可能性が示されていますが、更なる研究が必要です。PMC

血糖調節のサポートの可能性も示唆されています。緑茶エキスは、糖の吸収を遅らせ、インスリン感受性を改善する可能性があり、血糖値の管理に役立つ可能性があります。ただし、糖尿病患者への効果については一貫した結果が得られていません。

現時点では、緑茶エキスの多くの健康効果は「可能性がある」段階であり、個人差が大きいことが特徴です。健康的な食事と運動習慣の補助として利用することが推奨されます。

研究テーマ エビデンス強度 補足
抗酸化作用 細胞・動物・ヒト試験で確認、活性酸素消去
代謝促進 中〜高 カフェインとの相乗効果、エネルギー消費増加
体重・体脂肪減少 低〜中 メタアナリシスで軽度の効果、個人差大
LDLコレステロール低下 複数の研究で軽度の低下を確認
血圧低下 低〜中 軽度の低下を示唆、降圧剤の代替にはならない
認知機能改善 低〜中 一部で示唆、長期効果は不明確

摂り方とタイミング

緑茶エキスの推奨摂取量は、研究では250〜500mg/日(EGCG換算で約100〜250mg)が一般的に使用されます。体重管理目的では、EGCG 300〜400mg/日が使用されることもあります。製品のラベルに記載された推奨量に従い、初めて使用する場合は少量から始めてください。PubMed

摂取タイミングは朝・昼が一般的です。カフェインを含む製品の場合、夕方以降の摂取は睡眠を妨げる可能性があります。運動前30〜60分に摂取すると、脂肪燃焼効果が高まる可能性があるため、ダイエット目的では運動前の摂取も推奨されます。

食事と一緒または食後に摂取することが推奨されます。空腹時の大量摂取は、一部の人で吐き気や胃の不快感を引き起こす可能性があります。また、食事と一緒に摂ることで、カテキンの吸収が安定します。

鉄分の吸収を妨げる可能性があるため、鉄分サプリメントや鉄分豊富な食事とは時間をあけて摂取することが望ましいです。カテキンは非ヘム鉄(植物性食品に含まれる鉄)の吸収を阻害する可能性があります。

継続摂取が重要ですが、定期的な休薬期間を設けることも検討してください。肝機能への影響を懸念する専門家もいるため、3ヶ月摂取したら1ヶ月休むなど、休薬期間を設けることが安全策とされることがあります。

栄養素どうしの関係と注意点

緑茶エキスは他の栄養素や薬剤と相互作用する可能性があります。

組み合わせ 推奨度 コメント
緑茶エキス×カフェイン 相乗効果で代謝促進、カフェイン感受性者は注意
緑茶エキス×ビタミンC ビタミンCがカテキンの吸収を高める可能性
緑茶エキス×鉄分 カテキンが非ヘム鉄の吸収を阻害、時間をあける
緑茶エキス×抗凝固薬 ビタミンK含有の可能性、ワルファリン服用者は注意
緑茶エキス×降圧薬 血圧低下作用が重なる可能性、医師に相談
緑茶エキス×肝疾患 高用量で肝機能への影響の懸念、既往歴者は注意

通常の推奨用量(EGCG 300mg/日以下)では、副作用の報告は少ないです。一部の人では、吐き気、胃の不快感、頭痛、めまいが起こることがあります。これらは空腹時の摂取や高用量摂取で起こりやすいです。

成人における緑茶と緑茶エキスの安全性を評価したシステマティックレビューでは、159件のヒト介入試験から有害事象データが分析され、推奨用量範囲での使用は一般的に安全と結論づけられましたが、高用量での肝機能への影響については注意が必要とされています。PubMed

高用量(EGCG 800mg/日以上)の長期摂取では、肝機能障害のリスクが報告されています。欧州食品安全機関(EFSA)は、EGCG 800mg/日以上の摂取で肝機能への影響の可能性を指摘しています。肝疾患の既往がある方、肝機能が低下している方は、医師に相談してください。

カフェイン含有製品では、カフェインによる副作用(不眠、不安、動悸、頻尿など)が起こる可能性があります。カフェイン感受性の高い方、妊娠中・授乳中の方は、デカフェ製品を選ぶか、摂取を控えてください。

抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用中の方は注意が必要です。一部の緑茶エキスにはビタミンKが微量含まれ、ワルファリンの効果に影響を与える可能性があります。服用中の薬がある方は、医師に相談してください。

妊娠中・授乳中の高用量摂取については、安全性データが不十分です。適度な緑茶の飲用(1日2〜3杯程度)は一般的に安全とされていますが、高濃度のサプリメントは避けることが推奨されます。

食品から摂るには

緑茶エキスの成分は、通常の緑茶にも含まれますが、濃度はサプリメントより低くなります。

緑茶飲料からの摂取

  • 緑茶(煎茶)1杯(200ml):カテキン約100〜200mg、EGCG約50〜100mg、カフェイン約30〜40mg
  • 抹茶1杯:カテキン約200〜400mg(粉末を丸ごと摂取するため高濃度)
  • 緑茶1日3〜5杯で、緑茶エキスサプリメント250〜500mgに相当するカテキンを摂取可能

緑茶を飲む際は、熱湯(80〜90℃)で1〜3分抽出すると、カテキンが効率よく抽出されます。沸騰した熱湯では渋みが強くなり、低温では抽出量が少なくなります。

緑茶の種類とカテキン含有量

  • 煎茶:最も一般的、カテキン含有量中程度
  • 玉露:甘み重視、カテキン含有量は煎茶より低い
  • 抹茶:粉末を丸ごと摂取、カテキン含有量が高い
  • ほうじ茶・玄米茶:焙煎により一部カテキンが減少、カフェインも低い

日常的に緑茶を飲む習慣は、日本を含むアジア諸国で伝統的に健康維持に役立つとされてきました。観察研究では、緑茶を1日3〜5杯飲む習慣が、心血管疾患や一部のがんのリスク低下と関連していることが示されています。

サプリメントは緑茶を飲まない人や、高濃度のカテキンを摂取したい人に便利ですが、通常の緑茶飲用には他の有益な成分(L-テアニン、ビタミン、ミネラルなど)も含まれる利点があります。

よくある質問

Q. 緑茶エキスのサプリメントは必要ですか?

通常の緑茶を1日3〜5杯飲む習慣があれば、サプリメントは原則不要です。ただし、緑茶を飲まない人、体重管理や代謝促進を目的とする人、高濃度のカテキンを摂取したい人では、サプリメントが便利な選択肢となります。

Q. どのくらいの量を摂取すれば良いですか?

サプリメントでは250〜500mg/日(EGCG換算で約100〜250mg)が一般的です。初めて使用する場合は、少量(EGCG 100mg程度)から始め、体調を観察しながら調整してください。EGCG 800mg/日以上の高用量は避けることが推奨されます。

Q. 副作用はありますか?

通常の推奨量では、重大な副作用はほとんど報告されていません。一部の人で吐き気、胃の不快感、頭痛が起こることがあります。高用量(EGCG 800mg/日以上)では肝機能への影響の懸念があります。空腹時の大量摂取は避け、食事と一緒に摂取してください。

Q. カフェイン含有とデカフェ、どちらが良いですか?

代謝促進・脂肪燃焼目的では、カフェイン含有製品が相乗効果でより効果的とされています。ただし、カフェイン感受性が高い人、不眠傾向の人、妊娠中・授乳中の人はデカフェ製品を選ぶことが推奨されます。

Q. ダイエット効果は本当にありますか?

緑茶エキスには軽度の体重減少効果が示されていますが、劇的な効果は期待できません。メタアナリシスでは平均0.7〜1.3kgの体重減少が報告されており、健康的な食事と運動習慣の補助として利用することで、より効果的です。

Q. どのくらいの期間摂取すれば良いですか?

体重管理目的では、最低でも8〜12週間の継続摂取が推奨されます。抗酸化作用や健康維持目的では、長期摂取も可能ですが、肝機能への影響を考慮し、3ヶ月摂取したら1ヶ月休むなど、定期的な休薬期間を設けることが安全策とされることがあります。

Q. 緑茶を飲むのとサプリメント、どちらが良いですか?

通常の緑茶には、カテキンだけでなくL-テアニン(リラックス効果)、ビタミン、ミネラルなど他の有益な成分も含まれます。日常的には緑茶を飲み、特定の健康目的で高濃度のカテキンが必要な場合はサプリメントを利用するのが良いでしょう。両方を組み合わせる場合は、総カテキン摂取量に注意してください。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。