ハーブ・植物エキス

朝鮮人参の実エキス(ジンセンベリー)|血糖値と認知機能が気になる人のジンセノサイドサポート

血糖値や認知機能が気になる方に向けて、朝鮮人参の実エキス(ジンセンベリー)がジンセノサイドRe、血糖コントロール、認知機能にどのように関与するかを、最新の科学的エビデンスとともに詳しく解説します。

※ 主な作用: エネルギーサポート・抗酸化

朝鮮人参の実エキス(ジンセンベリー)|血糖値と認知機能が気になる人のジンセノサイドサポート
摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

参考値

200400 mg(出典: 臨床研究高麗人参果実エキス

血糖値や認知機能が気になる、疲労回復を重視する、心血管の健康を保ちたい人に注目される高麗人参の果実由来成分です。 朝鮮人参の実エキス(ジンセンベリー)は高麗人参(Panax ginseng)の果実から抽出され、根の約2倍のサポニン(ジンセノサイド)を含み、特にジンセノサイドReが豊富です。血糖値コントロール(インスリン感受性改善、糖新生抑制)、認知機能のサポート(神経保護、脳血流改善)、抗疲労・滋養強壮、心血管の健康サポート(血管拡張、血圧調節)、抗酸化・抗炎症作用、免疫調節に関与する臨床研究が報告されています。 前糖尿病または初期2型糖尿病患者を対象とした12週間の研究では、食後血糖値が有意に改善し、インスリン感受性が向上しました。

  • 主な働き:血糖値コントロール、認知機能サポート、抗疲労、心血管健康、抗酸化、免疫調節
  • 摂るタイミング:食事と一緒に100〜400mg/日、朝または午前中(活力向上作用)
  • 相性:血糖降下薬・抗凝固薬服用中は医師に相談、免疫抑制剤・MAO阻害薬は注意
  • 注意:糖尿病治療中の血糖値モニタリング必須、妊娠・授乳中は避ける、手術2週間前は中止
  • 食品例:朝鮮人参の実エキスサプリメント(カプセル・粉末・液体、ジンセノサイドRe 5〜10%標準化)

朝鮮人参の実エキスとは

朝鮮人参の実エキス(Ginseng Berry Extract、ジンセンベリーエキス)は、高麗人参(Panax ginseng)の果実(ベリー)から抽出されるエキスです。一般的に知られている高麗人参の「根」とは異なり、「実(果実)」には独自の栄養成分プロファイルがあり、特にジンセノサイドReという特定のサポニン成分が豊富に含まれています。

朝鮮人参の実の特徴として、高麗人参は4年に一度だけ実をつけるため果実は根に比べて希少であり、成熟すると実は赤くなってポリフェノールも豊富に含まれます。サポニン含有量は根の約2倍で、特にジンセノサイドReが根に比べて多く含まれています。

ジンセノサイドReの働きとして、血管拡張・血流改善、血糖値と体重のコントロール、性機能の向上、更年期症状の緩和、抗酸化作用、抗アレルギー作用、皮膚状態の改善が報告されています。

ジンセノサイドReは、糖尿病、神経系疾患、炎症、心血管疾患、がん、骨粗鬆症、皮膚バリア機能など、幅広い健康領域での薬理学的活性が研究されています。PubMed

朝鮮人参の実エキスは、根のエキスと比較して、より優れた血糖降下作用抗肥満効果を持つことが研究で示されています。

からだでの働きと科学的知見

朝鮮人参の実エキスは、血糖値コントロール、認知機能のサポート、抗疲労・滋養強壮作用、心血管の健康サポート、抗酸化・抗炎症作用、免疫調節作用に関与します。

血糖値コントロール:

朝鮮人参の実エキスの最も重要な働きの一つが、血糖値の管理です。細胞のインスリン受容体の感受性を高め、グルコースの細胞内取り込みを促進します。膵臓β細胞からのインスリン分泌を適切に促進し、肝臓での糖新生(グルコース生成)を抑制します。小腸での糖質の吸収を調節し、脂質の分解と代謝を調節することで、インスリン抵抗性を軽減します。

ジンセノサイドReは、他のジンセノサイドと比較して、血糖降下作用が強いです。前糖尿病または初期2型糖尿病患者を対象とした研究では、12週間の摂取により食後血糖値が有意に改善し、インスリン感受性が向上しました。PubMed 脂肪細胞での脂質蓄積を抑制し、インスリン抵抗性の改善に寄与します。

認知機能のサポート:

朝鮮人参の実エキスは認知機能と精神パフォーマンスの向上に関与します。酸化ストレスから神経細胞を保護し、神経変性を抑制します。アセチルコリンなどの神経伝達物質のバランスを改善し、血管拡張作用により、脳への血流を増加させ、酸素・栄養供給を促進します。脳の炎症を軽減し、神経炎症を抑制し、長時間の精神活動中のパフォーマンス維持をサポートします。

朝鮮人参(G115)の単回投与により、持続的精神活動中の血糖値が低下し、認知パフォーマンスが改善したという研究があります。PubMed 健常者だけでなく、主観的記憶障害、軽度認知障害(MCI)、初期アルツハイマー病患者においても認知機能改善の可能性が示されています。

抗疲労・滋養強壮作用:

朝鮮人参の実エキスは疲労回復と活力向上に関与します。ミトコンドリアでのATP産生を促進し、エネルギー代謝を改善します。アダプトゲン作用により、身体のストレス応答を調節し、ストレス適応能力を向上させます。疲労の原因となる酸化ストレスを軽減し、疲労による免疫機能低下を抑制します。

心血管の健康サポート:

朝鮮人参の実エキスは心血管系の健康維持に関与します。NO(一酸化窒素)産生を促進し、血管を拡張させて血流を改善します。血管拡張作用により、血圧の健康的な維持に寄与します。脂質代謝の改善と抗酸化作用により、動脈硬化の進行を抑制し、血小板凝集を抑制して血栓形成リスクを軽減します。

抗酸化・抗炎症作用:

朝鮮人参の実エキスは酸化ストレスと炎症の軽減に寄与します。ジンセノサイドが活性酸素種(ROS)を直接消去し、内因性抗酸化酵素(SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ)を活性化します。脂質過酸化を抑制し、ミトコンドリア機能の改善とミトファジー(損傷したミトコンドリアの除去)の誘導により、健康長寿をサポートします。PubMed 炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1β)の産生を抑制し、NF-κB経路を阻害します。

免疫調節作用:

朝鮮人参の実エキスは免疫システムのバランス調整に関与します。マクロファージ、NK細胞、T細胞などの免疫細胞を活性化し、免疫応答に関わるサイトカインのバランスを調整します。免疫系を介した抗がん作用が研究されており、熱処理されたジンセノサイドReは、がん細胞の増殖抑制と細胞死誘導に関与することが示されています。PubMed ジンセノサイドの多様なメカニズムとして、抗酸化、抗炎症、血管拡張、抗がん作用などが報告されています。PubMed

摂り方とタイミング

朝鮮人参の実エキスの臨床研究では、一般的に100mg〜400mg/日(ジンセノサイド標準化エキス)が使用されています。血糖値管理を目的とする場合は200mg〜400mg/日、認知機能サポートには100mg〜200mg/日、疲労回復には200mg〜400mg/日が推奨されています。製品によってジンセノサイドRe含有量が異なるため、製品ラベルで「ジンセノサイドRe〇〇mg含有」を確認し、それに基づいて摂取量を調整することが重要です。

吸収率向上と胃腸への刺激軽減のため、食事と一緒に摂取することが推奨されます。活力向上効果があるため、朝または午前中の摂取が適しています。効果が現れるまでに数週間〜数ヶ月かかる場合があるため、少なくとも8〜12週間の継続摂取が推奨されます。

栄養素どうしの関係と注意点

一般的な副作用として、夕方以降の摂取では不眠が、まれに頭痛、胃腸不快感、血圧変動が報告されています。

特別な注意が必要な方として、糖尿病治療薬服用中の方は血糖値を低下させる作用があるため血糖降下薬との併用時は血糖値のモニタリングが必要であり、高血圧の方は血圧への影響があるため医師に相談してください。抗凝固薬服用中の方は血小板凝集抑制作用があるためワルファリンなどの抗凝固薬との併用に注意が必要で、自己免疫疾患の方は免疫系に影響を与える可能性があるため医師に相談してください。妊娠・授乳中の方は安全性データが不足しているため摂取を避けることが推奨され、手術予定の方は出血リスクと血糖値への影響を考慮して手術の2週間前には摂取を中止することが推奨されます。

薬剤との相互作用として、血糖降下薬との併用では血糖値をさらに低下させる可能性があるため用量調整が必要な場合があり、抗凝固薬・抗血小板薬との併用では出血リスクを高める可能性があるため注意が必要です。MAO阻害薬との併用では相互作用の可能性があるため医師に相談し、免疫抑制剤との併用では免疫系に影響を与える可能性があるため医師に相談してください。

品質管理として、信頼できるメーカーの製品を選択してジンセノサイドRe含有量が明記されている製品を選び、標準化されたエキス(例: ジンセノサイドRe 5〜10%含有)を選択することが推奨されます。韓国産の高麗人参の実エキスを使用した製品が多くあります。

食品から摂るには

朝鮮人参の実エキス(ジンセンベリーエキス)は、高麗人参の果実から抽出される希少な成分であり、通常の食品からの摂取は困難です。そのため、サプリメントから摂取することが一般的です。

サプリメント形態として、携帯に便利で摂取量の管理がしやすいカプセル・錠剤タイプ、水や飲料に溶かして摂取できて吸収が早い粉末タイプ、吸収が早いが保存に注意が必要な濃縮エキス形態の液体エキスがあります。

日常での取り入れ方として、朝食または昼食と一緒に摂取すると吸収率が向上して胃腸への刺激が軽減され、活力向上効果があるため夕方以降の摂取は不眠を引き起こす可能性があることから朝または午前中の摂取が推奨されます。8〜12週間以上の継続摂取が推奨されます。

選び方のポイントとして、ジンセノサイドRe含有量が明記されている製品を選び(5〜10%含有が目安)、標準化されたエキス(Standardized Extract)を選択してください。韓国産の高麗人参の実エキスを使用した製品が多く品質が安定しており、GMP(Good Manufacturing Practice)認証を受けた製品を選ぶことが推奨されます。

生の高麗人参の実:

希少ではありますが、韓国などで生の高麗人参の実(成熟すると赤色)を入手できる場合があります。ただし、生の実は苦味が強く、大量摂取は難しいため、サプリメント形態での摂取が現実的です。

よくある質問

Q. 朝鮮人参の実エキスと根のエキスは何が違いますか?

朝鮮人参の実エキスは、根のエキスと比較して約2倍のサポニン(ジンセノサイド)を含み、特にジンセノサイドReが豊富です。ジンセノサイドReは血糖降下作用と抗肥満効果が強く、血糖値管理や体重コントロールに特化した効果が期待できます。根のエキスはより一般的な滋養強壮作用に優れています。

Q. どのくらいの期間摂取すれば効果が出ますか?

臨床研究では、12週間の継続摂取により血糖値改善効果が確認されています。ただし、個人差があり、一部の方は数週間で効果を実感することもあります。少なくとも8〜12週間の継続摂取が推奨されます。

Q. 糖尿病の薬を飲んでいますが、併用しても大丈夫ですか?

朝鮮人参の実エキスは血糖値を低下させる作用があるため、血糖降下薬との併用時は血糖値が過度に低下する可能性があります。糖尿病治療薬を服用している方は、必ず医師に相談してから摂取を開始してください。血糖値のモニタリングと、必要に応じて薬の用量調整が必要な場合があります。

Q. 妊娠中や授乳中でも摂取できますか?

妊娠中や授乳中の朝鮮人参の実エキス摂取に関する十分な安全性データがありません。妊娠中や授乳中の方は、摂取を避けることが推奨されます。摂取を検討する場合は、必ず医師に相談してください。

Q. 副作用はありますか?

一般的には安全性が高い成分とされていますが、夕方以降の摂取により不眠が生じる可能性があります。また、まれに頭痛や胃腸不快感が報告されています。抗凝固薬を服用している方は、出血リスクが高まる可能性があるため注意が必要です。

Q. どのくらいの量を摂取すれば良いですか?

臨床研究では200mg〜400mg/日(ジンセノサイド標準化エキス)が使用されています。製品によってジンセノサイドRe含有量が異なるため、製品ラベルを確認し、それに基づいて摂取量を調整することが重要です。初めての方は少量から開始し、徐々に増量することをお勧めします。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。