月経不順や更年期症状が気になる女性に向けた、東アジアの伝統医学で広く使われる生薬です。当帰(Angelica sinensis)は血流と女性の健康維持に関与し、月経周期や更年期の体調管理を助けます。継続的に摂り、他の生薬との配合で使うのが一般的です。
- 主な働き:血流促進と女性の健康維持のサポート
- 摂るタイミング:食事と一緒に、毎日継続して
- 相性:芍薬・川芎などとの配合(当帰芍薬散など)
- 注意:妊娠中・授乳中は医師に相談、出血傾向がある場合は注意
- 食品例:漢方薬、生薬エキス
当帰とは
当帰(Angelica sinensis、別名Dong Quai)は、セリ科の多年草の根で、中国伝統医学において2000年以上使用されてきました。「女性の人参」とも呼ばれ、月経不順、月経痛、更年期症状などに伝統的に使用されています。当帰の根には、フェルラ酸、リグスチリド、ポリサッカライドなど多様な生物活性成分が含まれています。PMC 女性特有の不調や血流ケアに関心がある人にとって、生活習慣を整えつつ、この成分を補助として扱うと安心です。
からだでの働きと科学的知見
当帰の作用機序については複数の研究で検討されています。当帰の水抽出物は、マウスモデルにおいて月経周期の回復を促進し、ホルモンレベルを調節することが示されました。PMC
血流への影響として、当帰は末梢血管拡張作用を持ち、血液循環の向上に関与します。この作用は、含有成分のリグスチリドが血管平滑筋に作用することで説明されます。PubMed
更年期症状への有用性については研究結果が混在しています。2016年のシステマティックレビューでは、当帰が更年期のホットフラッシュ頻度を減少させる可能性が示唆されましたが、エビデンスの質は低〜中程度でした。PubMed
エストロゲン様作用については議論があります。一部の研究では、当帰がエストロゲン受容体に結合する可能性が示されていますが、その活性は弱く、明確なエストロゲン様作用は確認されていません。PubMed
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 血流 | 中 | 血管拡張作用 |
| 月経周期調節 | 低〜中 | 動物実験で実証 |
| 更年期症状緩和 | 低 | エビデンス不一致 |
摂り方とタイミング
当帰は通常、漢方薬の一成分として使用されます。代表的な処方として当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があり、1日7.5g程度を2〜3回に分けて食前または食間に服用します。 単独サプリメントでは500〜2,000mg/日が使用されていますが、標準化された用量は確立されていません。変化を評価するには数週間から数か月の継続が目安です。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| 芍薬・川芎 | ◎ | 当帰芍薬散などの伝統処方 |
| 抗凝固薬 | △ | 出血リスク増加、併用注意 |
| ホルモン補充療法 | △ | 相互作用の可能性、医師に相談 |
当帰は一般的に安全とされますが、抗凝固作用があるため、ワルファリンなどの血液凝固薬と併用する場合は医師に相談してください。妊娠中・授乳中の安全性は確立されていません。
食品から摂るには
当帰は以下の形態で利用されます:
- 漢方薬:当帰芍薬散、十全大補湯、当帰建中湯など
- 生薬エキス:単独エキス製品(500〜2,000mg/日)
- 伝統的利用:スープや薬膳料理(中国・韓国料理)
- 注意点:品質にばらつきがあるため、信頼できる製造元の製品を選ぶ
日本では医薬品または医薬部外品として規制されています。
