脂肪酸・脂質

CLA(共役リノール酸)|体脂肪減少と代謝が気になる人の体組成サポート

体脂肪減少や体組成が気になる方に向けて、CLA(共役リノール酸)が脂肪代謝、体脂肪量、インスリン感受性にどのように関与するかを、最新の科学的エビデンスとともに詳しく解説します。

※ 主な作用: 脂肪代謝サポート・体組成改善・抗酸化作用

CLA(共役リノール酸)|体脂肪減少と代謝が気になる人の体組成サポート
摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

一般的に1500-3000mg/日

参考値

36 g(出典: 臨床研究共役リノール酸。体組成改善目的

体脂肪減少や体組成改善が気になる、ダイエットをサポートしたい人に注目される脂肪酸です。 CLA(共役リノール酸)はリノール酸の異性体で、脂肪細胞の分化抑制、脂肪分解の促進、脂肪酸のβ酸化促進などを通じて脂肪代謝に関与し、体脂肪量の減少・体組成改善に関与する臨床研究がメタアナリシスで報告されています。 牛肉や乳製品に天然に含まれますが、日本人の平均摂取量は約37.5mg/日と非常に少なく、生理的効果を得るにはサプリメントでの摂取が推奨されます。

  • 主な働き:体脂肪減少、脂肪代謝改善、体組成改善、脂肪分解促進
  • 摂るタイミング:1日3,000〜3,400mg、食事と一緒に2〜3回に分けて
  • 相性:運動と併用で効果向上、血糖降下薬は医師に相談
  • 注意:糖尿病は医師に相談、妊娠・授乳中は避ける、効果に個人差が大きい
  • 食品例:牛肉(牧草飼育)、乳製品(牛乳、チーズ、バター、ヨーグルト)、ラム肉

CLAとは

CLA(Conjugated Linoleic Acid、共役リノール酸)は、必須脂肪酸であるリノール酸の幾何異性体および位置異性体の総称です。天然には、牛肉や乳製品などの反芻動物由来の食品に含まれており、反芻動物の第一胃内で微生物によってリノール酸が変換されて生成されます。

CLAには複数の異性体が存在しますが、生理活性が最も研究されているのはcis-9, trans-11 CLA(c9,t11-CLA)とtrans-10, cis-12 CLA(t10,c12-CLA)の2種類です。PMCこれらの異性体は、それぞれ異なる生理作用を持つことが知られています。

主な異性体と作用として、天然の乳製品に最も多く含まれ抗酸化作用・抗炎症作用を持つc9,t11-CLA、体脂肪減少作用が強いとされるがインスリン抵抗性への影響も報告されているt10,c12-CLAが挙げられ、サプリメントは通常これら2つを約50:50の割合で含む混合物として提供されています。

日本人の食事からのCLA摂取量は平均約37.5mg/日と非常に少なく、生理的効果を得るには食事だけでは不十分とされています。

からだでの働きと科学的知見

CLAの最もよく研究されている作用の一つが、体脂肪量の減少への関与です。2023年の大規模メタアナリシスでは、CLA補給により体脂肪量が約1.33kg、体重が約0.7kg減少することが示されました。PubMedただし、高品質な研究のデータでは効果が確認されない場合もあり、効果量は小さく臨床的重要性に達しない可能性があることが示されています。

体脂肪減少のメカニズムとして、t10,c12-CLAは脂肪細胞の分化を抑制し、新たな脂肪細胞の形成を減少させます。また、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)を活性化して脂肪細胞内の中性脂肪の分解を促進し、CPT-1(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1)の活性を高めることでミトコンドリアでの脂肪酸酸化を促進します。さらに、LPL(リポタンパク質リパーゼ)活性を低下させて脂肪組織への脂肪蓄積を抑制します。ただし、効果には大きな個人差があり、すべての人に同等の体脂肪減少効果が現れるわけではありません。

CLAは複数の経路を通じて脂質代謝に影響を与えます。PMC具体的には、PPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)を調節して脂肪細胞分化と糖・脂質代謝に関与します。また、脂肪組織から分泌されインスリン感受性や抗炎症作用に関与するアディポネクチンや、食欲調節に関与するレプチンへの影響も研究されていますが、これらのホルモンへの影響については研究により結果が異なっています。

CLAのインスリン感受性への影響は異性体により異なることが示されています。c9,t11-CLAはインスリン感受性への悪影響は少ないか、むしろ改善する可能性がある一方、t10,c12-CLAは高用量・長期摂取でインスリン抵抗性を増加させる可能性が一部の研究で報告されています。混合CLAサプリメント(2つの異性体を含む)の場合、全体的な影響は中立的または軽度の悪影響にとどまることが多いとされています。2022年のメタアナリシスでは、CLAと運動の併用によりインスリン抵抗性(HOMA-IR)が有意に減少し、体脂肪もより顕著に減少することが示されました。PubMed

CLAには炎症性サイトカインやアディポカインへの影響が研究されています。一部の研究では炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6)の減少が報告されていますが、効果は一貫しておらず、用量や摂取期間、対象者の特性により異なります。また、抗酸化作用により、酸化ストレスの軽減に関与する可能性があります。

長期的な摂取(6ヶ月〜1年)により、わずかながら体脂肪量の減少をサポートします。一部の研究では、体重減少時に除脂肪体重(筋肉量)の減少を抑制する可能性も示唆されています。運動と併用することで、体脂肪減少効果がより顕著になる可能性があります。

24ヶ月にわたる長期摂取の研究では、体脂肪減少効果が確認され、忍容性も良好であることが示されています。PubMed一方、減量後の体重リバウンド防止については、1年間の研究で明確な効果は確認されていません。PubMed

摂り方とタイミング

CLA臨床研究では、3.0g〜3.4g/日(3,000mg〜3,400mg/日)が一般的な用量として使用されています。研究で使用された用量は1.7g〜6.8g/日(平均約3.2g/日)で、最も効果が見られたのは3.0g〜3.4g/日を6ヶ月〜1年間継続した場合です。

CLAは脂溶性のため、食事と一緒に摂取すると吸収率が向上します。また、1日量を2〜3回に分けて摂取すると、血中濃度の安定化に寄与します。効果が現れるまでに数ヶ月かかるため、少なくとも3〜6ヶ月の継続摂取が推奨されます。

食品から摂るには

CLA含有量の多い食品として、100gあたり約4.3mgを含む牧草飼育の牛肉、製品により異なるものの牛乳100mlあたり約5.5mgを含む乳製品(牛乳、チーズ、バター、ヨーグルト)、100gあたり約5.6mgを含むラム肉が挙げられます。

食品からの摂取の限界として、日本人の平均CLA摂取量は約37.5mg/日であり、サプリメントの推奨用量(3,000mg/日)を食品だけで摂取するのは現実的ではありません。

栄養素どうしの関係と注意点

一般的な副作用として、便秘、下痢、軟便、腹部不快感といった消化器症状が報告されていますが、これらの症状は軽度で一過性のことが多いとされています。

特別な注意が必要な方として、t10,c12-CLAがインスリン抵抗性を増加させる可能性があるため血糖値のモニタリングが必要な糖尿病患者、安全性データが不足しているため摂取を避けることが推奨される妊娠・授乳中の方、高用量・長期摂取での肝機能への影響が一部の研究で報告されているため注意が必要な肝機能障害の方が挙げられます。

薬剤との相互作用として、現時点で重大な相互作用は報告されていませんが、血糖降下薬を服用している場合は医師に相談してください。

効果の個人差として、CLAの効果には大きな個人差があり、すべての人に同等の体脂肪減少効果が現れるわけではありませんが、食事管理や運動と併用することで、より効果的な体組成改善が期待できます。

よくある質問

Q. CLAと運動を併用すると効果が高まりますか?

はい、2022年のメタアナリシスでは、CLAと運動の併用により運動単独よりも体脂肪が有意に減少し、インスリン抵抗性も改善することが示されています。体組成改善を目指す場合は、CLAと定期的な運動を組み合わせることが推奨されます。

Q. どのくらいの期間摂取すれば効果を感じられますか?

臨床研究では、効果が現れるまでに通常3〜6ヶ月の継続摂取が必要とされています。最も効果が見られたのは6ヶ月〜1年間継続した場合です。即効性は期待できないため、長期的な継続が重要です。

Q. 糖尿病ですがCLAを摂取しても大丈夫ですか?

t10,c12-CLA異性体の高用量・長期摂取でインスリン抵抗性が増加する可能性が報告されています。糖尿病の方や血糖値が気になる方は、使用前に必ず医師に相談し、血糖値のモニタリングを行ってください。

Q. 副作用はありますか?

一般的に軽度で一過性の消化器症状(便秘、下痢、軟便、腹部不快感)が報告されています。重篤な副作用は稀ですが、高用量・長期摂取での肝機能への影響が一部の研究で報告されているため、注意が必要です。

Q. 食品だけでCLAを十分に摂取できますか?

日本人の平均CLA摂取量は約37.5mg/日と非常に少なく、サプリメントの推奨用量(3,000mg/日)を食品だけで摂取するのは現実的ではありません。体脂肪減少効果を期待する場合は、サプリメントでの補給が推奨されます。

Q. 体重が減らなくても効果はありますか?

はい、研究では体重が減少しなくても体脂肪量が減少するケースがあります。体組成(体脂肪率や筋肉量)の改善が主な効果であり、体重計の数値だけでは効果を正確に評価できません。体脂肪率や体組成計での測定が推奨されます。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。