体重管理やコレステロール値が気になる人に向けた、カニやエビの殻から抽出される動物性食物繊維です。キトサンは消化管内で脂質と結合し、体重管理とコレステロール調節に関与します。食事と一緒に継続的に摂り、バランスの良い食事と運動習慣と合わせて使うのが一般的です。
- 主な働き:脂質吸収抑制による体重管理とコレステロール調節のサポート
- 摂るタイミング:脂質を含む食事の前または食事中に
- 相性:食事療法・運動療法との併用が基本
- 注意:甲殻類アレルギー、脂溶性ビタミン吸収への影響
- 食品例:サプリメントカプセル、タブレット
キトサンとは
キトサン(chitosan)は、カニやエビなどの甲殻類の殻に含まれるキチンを脱アセチル化して得られる天然の多糖類です。キトサンは正電荷を持つため、負電荷の脂質や胆汁酸と結合し、消化管内での脂質吸収を抑制する可能性があります。キトサンは動物性の食物繊維として機能します。PubMed 体重管理やコレステロール値が気になる人にとって、食事と運動習慣を基本としつつ、この成分を補助的に使うことが重要です。
からだでの働きと科学的知見
キトサンの体重への効果については、メタアナリシスで検討されています。2018年のメタアナリシスでは、キトサンサプリメントが体重減少、脂質パラメータ、血圧に及ぼす効果が評価されました。結果は製品の種類や試験デザインにより異なりました。PubMed
コレステロールへの効果として、高コレステロール血症患者を対象としたメタアナリシスでは、キトサンが総コレステロールに有益な効果を示しました(95%信頼区間で統計的に有意)。ただし、他のリポたんぱく質への効果をより良く特徴づけるため、追加の大規模ランダム化対照試験が必要とされました。PubMed 試験逐次解析を用いたプール解析では、キトサン補給が血清脂質を調節する効果が検討され、現在のエビデンスが示されました。PubMed
作用機序として、キトサンは以下のメカニズムで作用すると考えられています:
- 消化管内で脂質(特に脂肪)と結合し、吸収を抑制
- 胆汁酸と結合し、胆汁酸の再吸収を抑制(間接的にコレステロール低下)
- 食物繊維としての作用(満腹感、消化管通過時間の短縮)
効果の限定性として、キトサンの体重減少効果は比較的小さく(数kg程度)、食事管理と運動療法の補助としての位置づけが適切です。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 体重減少 | 低〜中 | 効果は小さい |
| 総コレステロール低下 | 中 | 有意な効果 |
| LDL低下 | 低〜中 | エビデンス不一致 |
摂り方とタイミング
キトサンは脂質を含む食事の前または食事中に摂取します。研究では1日1,000〜3,000mgが使用されており、一般的なサプリメントは500〜1,500mg/回、1日2〜3回です。 効果を実感するには12週間以上の継続が必要です。食事管理と運動習慣の改善を優先し、キトサンは補助的に使用してください。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| 食事療法・運動 | ◎ | 基本的な生活習慣改善が最重要 |
| 脂溶性ビタミン | △ | 吸収抑制の可能性、時間をずらす |
| 抗凝固薬 | △ | 相互作用の可能性、医師に相談 |
| 甲殻類アレルギー | × | アレルギー反応のリスク、使用禁止 |
キトサンは脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を抑制する可能性があるため、ビタミンサプリメントを使用する場合は、摂取時間を2〜4時間ずらしてください。甲殻類アレルギーのある人は使用を避けてください。
食品から摂るには
キトサンは以下の形態で利用されます:
- サプリメントカプセル:キトサン粉末(500〜1,500mg/カプセル)
- タブレット:固形タイプ
- 機能性食品:キトサン添加青汁、飲料
- 注意点:
- 甲殻類由来のため、アレルギーの人は避ける
- 分子量や脱アセチル化度により効果が異なる
- 品質が確認された製品を選ぶ
キトサンは食品としてはほとんど摂取されず、サプリメントが主な摂取源です。
