肌の乾燥や水分保持が気になる人に向けた脂質成分です。セラミドは角質層の細胞間脂質の約50%を占める主要成分で、皮膚のバリア機能の維持に重要な役割を果たします。経口摂取により皮膚の水分量を増加させ、経皮水分蒸散量(TEWL)を減少させることが研究で示されています。
- 主な働き:皮膚バリア機能の維持、水分保持、経皮水分蒸散の抑制
- 摂るタイミング:朝食時に、食事と一緒に
- 相性:単独での使用が一般的
- 注意:一般的に安全、有害事象の報告なし
- 食品例:小麦由来セラミド、乳由来セラミド、こんにゃく芋
セラミドとは
セラミドは、角質層の細胞間脂質の主要成分であり、皮膚のバリア特性を提供します。セラミドは、デノボ経路(複雑度の低い分子から新規に合成)、スフィンゴミエリナーゼ経路(細胞膜のスフィンゴミエリンを分解)、サルベージ経路の3つの主要経路で生成されます。デノボ経路で生成されるセラミドの大部分が表皮バリアを形成します。PubMed
からだでの働きと科学的知見
セラミドの主な働きは、皮膚バリア機能の維持と水分保持です。
経口摂取による皮膚への影響
20〜60歳の乾燥肌の男女を対象とした12週間の二重盲検プラセボ対照試験では、0.8mgのジヒドロセラミドを含む酢酸菌の経口摂取が、角質層の水分量を有意に改善し、有害事象は認められませんでした。PubMed
乳由来セラミドの12週間の摂取は、皮膚の水分量と弾力性を改善し、経皮水分蒸散を抑制しました。小麦由来極性脂質複合体の経口摂取は、皮膚の水分量(p<0.001)、弾力性、滑らかさ(p<0.001)を有意に増加させ、経皮水分蒸散(p<0.001)、粗さ(p<0.001)、シワ(p<0.001)をプラセボと比較して減少させました。PMC
経口セラミド摂取に関する7つの臨床研究のメタアナリシスでは、プラセボと比較して皮膚水分量の有意な増加と経皮水分蒸散の減少が明らかになりました。PMC
吸収と分布のメカニズム
経口投与されたセラミドの一部は、胃腸管での吸収後、徐々に真皮に分布し、その後真皮から表皮へ移行します。PubMedセラミドは高分子量のため、経皮吸収は限定的であり、経口摂取が効率的な供給方法として研究されています。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚水分量の増加 | 高 | メタアナリシスで効果確認 |
| 経皮水分蒸散の抑制 | 高 | 複数の臨床試験で効果報告 |
| 皮膚弾力性の改善 | 中 | 一部の研究で効果報告 |
| 安全性 | 高 | 有害事象の報告なし |
摂り方とタイミング
臨床研究では、1日0.8〜1.8mg程度のセラミドが使用されています。朝食時に食事と一緒に摂取することが一般的です。効果は数週間から12週間程度の継続使用で観察されることが多いため、継続的な摂取が推奨されます。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ビタミンE | ○ | 皮膚の抗酸化を相互に支える |
| ビタミンC | ○ | 皮膚の健康を相互に支える |
| コラーゲン | ○ | 皮膚の構造を相互に支える |
セラミドは一般的に安全で、良好な忍容性を示します。4週間の過剰摂取試験でも有害事象や血液・尿検査パラメータの臨床的に懸念される変化は観察されませんでした。PubMed
サプリメントとして摂るには
セラミドは以下の形態で利用されます:
- 小麦由来セラミド:グルコシルセラミドとして(1日1.8mg程度)
- 乳由来セラミド:ミルクセラミドとして(1日0.6〜1.2mg程度)
- こんにゃく芋由来セラミド:グルコシルセラミドとして(1日0.6〜1.2mg程度)
- ワイン粕由来セラミド:セラミド・グルコシルセラミド混合として
