骨の健康が気になる人に向けた、牛乳の乳清(ホエイ)から抽出された機能性たんぱく質です。 CBP(Concentrated Basic milk Protein / 濃縮乳清活性たんぱく)は、骨芽細胞の活性化と破骨細胞の抑制により、骨密度の向上や骨代謝の改善をサポートします。 MBP(Milk Basic Protein)とも呼ばれ、日本で開発された骨の健康をサポートする機能性成分として研究が進められています。
- 主な働き:骨密度向上サポート、骨芽細胞活性化、破骨細胞抑制
- 摂るタイミング:朝食時が一般的、継続摂取が重要
- 相性:カルシウム・ビタミンDと組み合わせで相乗効果
- 注意:乳アレルギーの方は使用不可、長期継続が必要
- 一般的な摂取量:40mg/日(機能性表示食品の場合)
CBP(濃縮乳清活性たんぱく)とは
CBPは、牛乳から脂肪とカゼインを除いた乳清(ホエイ)に微量に含まれる塩基性たんぱく質を濃縮した成分です。牛乳100mlあたりわずか0.005g程度しか含まれない希少な成分で、骨の健康維持に役立つ機能性が確認されています。MBP(Milk Basic Protein)という名称でも広く知られており、日本の雪印メグミルク社により開発されました。厚生労働省
CBPの主な機能性成分は、ラクトフェリンやアルブミンなどの塩基性たんぱく質です。これらは骨の形成と分解のバランスを調整し、骨密度の維持・向上に寄与します。骨代謝は「骨芽細胞」による骨形成と「破骨細胞」による骨吸収(分解)のバランスで成り立ち、CBPはこの両方に作用することが確認されています。
日本では機能性表示食品やトクホ(特定保健用食品)の関与成分として使用され、「骨密度の低下が気になる方に適する」などの表示が認められています。
からだでの働きと科学的知見
CBPは骨の健康維持に関わる複数のメカニズムが研究されています。
骨芽細胞の活性化は、CBPの主要な機能です。骨芽細胞は新しい骨を作る細胞で、CBPはこの細胞の増殖と活性化を促進します。細胞実験や動物実験で、CBPが骨芽細胞の分化を促し、骨形成マーカー(オステオカルシン、アルカリホスファターゼなど)の産生を増加させることが確認されています。PubMed
破骨細胞の抑制も重要な働きです。破骨細胞は古い骨を分解する細胞で、過剰な活動は骨粗しょう症の原因となります。CBPは破骨細胞の形成と活性を抑制し、過度な骨吸収を防ぐことで、骨密度の減少を抑えます。
骨密度の向上については、ヒト介入試験で効果が示されています。中高年女性や閉経後女性を対象とした複数の研究で、CBP 40mg/日の6〜12ヶ月間の摂取により、腰椎や大腿骨の骨密度が増加または減少が抑制されることが報告されています。特に骨密度が低下しやすい閉経後女性での効果が注目されています。PubMed
骨代謝マーカーの改善も観察されています。骨形成マーカー(オステオカルシン、I型プロコラーゲンなど)の増加と、骨吸収マーカー(デオキシピリジノリン、I型コラーゲン架橋N-テロペプチドなど)の減少が確認され、骨代謝が健康的な方向に改善されることが示されています。
カルシウム吸収の促進の可能性も示唆されています。一部の研究では、CBPがカルシウムの体内利用効率を高める可能性が報告されていますが、このメカニズムについては更なる研究が必要です。PMC 乳清たんぱく質と骨の健康に関する最新レビューでは、ミルク由来たんぱく質が骨密度維持と骨代謝調節に多面的に寄与することが包括的に示されています。PubMed
現時点では、CBPの骨密度向上効果は主に中高年女性・閉経後女性を対象とした研究で確認されており、若年者や男性への効果、骨折予防効果については更なる検証が必要です。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 骨芽細胞活性化 | 中〜高 | 細胞実験・動物実験で確認 |
| 破骨細胞抑制 | 中〜高 | 細胞実験で確認、骨吸収マーカー減少 |
| 骨密度向上 | 中〜高 | 中高年女性で効果確認、長期摂取が必要 |
| 骨代謝マーカー改善 | 高 | 複数のヒト試験で形成促進・吸収抑制を確認 |
| 骨折予防 | 低 | 直接的な骨折予防効果は未確認 |
| カルシウム吸収促進 | 低〜中 | 一部で示唆、メカニズム解明が必要 |
摂り方とタイミング
CBPの推奨摂取量は、機能性表示食品やトクホでは40mg/日が一般的です。この量は、複数のヒト介入試験で骨密度向上効果が確認された用量に基づいています。製品のラベルに記載された推奨量に従うことが基本です。PubMed
摂取タイミングは朝食時が一般的です。乳製品と一緒に摂取することで、カルシウムやビタミンDなど骨の健康に必要な他の栄養素も同時に摂取できます。空腹時でも食後でも効果に大きな差はないとされていますが、胃腸への負担を減らすため食事と一緒に摂ることが推奨されます。
長期継続摂取が重要です。骨密度の改善効果は6〜12ヶ月の継続摂取で認められることが多く、短期間では効果を実感しにくいです。骨代謝は緩やかなプロセスのため、最低でも3〜6ヶ月の継続を目安にしてください。
カルシウムとビタミンDの同時摂取が推奨されます。CBPは骨代謝を改善しますが、骨の材料となるカルシウムや、カルシウム吸収を助けるビタミンDが不足していると、十分な効果が得られません。日本人の食事摂取基準では、成人のカルシウム推奨量は650〜800mg/日、ビタミンDは8.5μg/日とされています。
乳製品からの摂取は現実的ではありません。CBPは牛乳中にわずかしか含まれず、40mgを牛乳から摂取するには約800Lが必要です。そのため、サプリメントや機能性表示食品(CBP強化ヨーグルト、飲料など)からの摂取が実用的です。
栄養素どうしの関係と注意点
CBPは他の栄養素と相互作用する可能性があります。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| CBP×カルシウム | ◎ | 相乗効果で骨密度向上が促進、同時摂取を推奨 |
| CBP×ビタミンD | ◎ | ビタミンDがカルシウム吸収を助け効果向上 |
| CBP×ビタミンK2 | ○ | K2が骨形成を促進、相乗効果の可能性 |
| CBP×マグネシウム | ○ | マグネシウムも骨の健康に重要、バランスが大切 |
| CBP×イソフラボン | ○ | 閉経後女性で相乗効果の可能性を示唆 |
| CBP×乳アレルギー | × | 乳由来成分のため乳アレルギー者は使用不可 |
通常の推奨用量(40mg/日)では、副作用の報告はほとんどありません。CBPは牛乳由来の天然成分であり、安全性は高いとされています。ただし、長期安全性データは限られているため、極端な高用量摂取は避けるべきです。
乳アレルギーの方は使用できません。CBPは牛乳由来のたんぱく質であり、乳アレルギーの原因となる可能性があります。乳製品にアレルギーがある方は、医師に相談してください。
妊娠中・授乳中の安全性については、十分なデータがありません。通常の食品由来成分であるため重大なリスクは低いと考えられますが、念のため医師に相談することが推奨されます。
腎機能が低下している方は、たんぱく質制限が必要な場合があります。CBPはたんぱく質であるため、腎疾患がある方は医師の指導のもとで使用してください。
骨粗しょう症の治療中の方は、医師に相談してください。CBPは医薬品ではなく食品成分ですが、ビスフォスフォネート製剤などの骨粗しょう症治療薬と併用する場合は、医師に情報を伝えることが推奨されます。
食品から摂るには
CBPは牛乳中に微量しか含まれないため、通常の食事から十分量を摂取することは現実的ではありません。そのため、CBPを摂取する場合は、CBPを強化した機能性食品やサプリメントを利用することが一般的です。
CBP含有食品例:
- CBP強化ヨーグルト:1個(100g程度)にCBP 40mgを配合した製品。朝食に取り入れやすい。
- CBP強化飲料(乳飲料):1本(100〜200ml)にCBP 40mgを配合。手軽に摂取できる。
- CBPサプリメント(カプセル・タブレット):CBP単独または カルシウム・ビタミンDと組み合わせた製品。
通常の乳製品からの摂取:
牛乳、ヨーグルト、チーズなどの通常の乳製品にもCBPは含まれますが、濃度は非常に低く(牛乳100mlあたり約0.005g)、機能性を発揮するレベルには達しません。ただし、これらの乳製品はカルシウムやビタミンDの良い供給源であり、CBP強化食品と組み合わせて摂取することで、骨の健康維持に役立ちます。
骨の健康のためには、CBP摂取とともに、カルシウム豊富な食品(牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、大豆製品、緑黄色野菜)、ビタミンD豊富な食品(魚類、キノコ類)、ビタミンK豊富な食品(納豆、緑黄色野菜)をバランスよく摂取することが推奨されます。
また、適度な運動(ウォーキング、筋トレなど)は骨に適度な負荷をかけ、骨密度の維持・向上に重要です。CBPの摂取と運動の組み合わせにより、より効果的な骨の健康維持が期待できます。
