抗酸化や代謝サポートが気になる人に向けた、緑茶に豊富に含まれるポリフェノール化合物です。 カテキンは、フラボノイドの一種で、特にEGCG(エピガロカテキンガレート)が最も豊富で強力な生理活性を持ちます。強力な抗酸化作用、代謝促進、心血管系の健康サポート、脳機能サポートなど多様な健康効果が研究されています。 主な供給源は緑茶で、サプリメント(緑茶エキス)として高濃度で摂取することも可能です。
- 主な働き:抗酸化作用、代謝促進、脂肪燃焼サポート、心血管系サポート、脳機能サポート
- 摂るタイミング:朝・昼が一般的、運動前30〜60分も効果的
- 相性:カフェインと組み合わせで代謝促進効果向上
- 注意:肝機能への影響の可能性、空腹時の大量摂取は避ける
- 一般的な摂取量:緑茶3〜5杯/日、またはEGCG 100〜250mg/日(サプリメント)
カテキンとは
カテキン(catechin)は、フラボノイドの一種で、茶葉(特に緑茶)、カカオ、リンゴ、ベリー類などに含まれるポリフェノール化合物です。緑茶には特に高濃度で含まれており、緑茶の渋味や健康効果の主要成分となっています。
緑茶に含まれる主要なカテキン類は、EGCG(エピガロカテキンガレート)、EGC(エピガロカテキン)、ECG(エピカテキンガレート)、EC(エピカテキン)の4種類です。EGCGは緑茶カテキンの約50〜80%を占め、最も豊富で強力な成分です。EGCは2番目に豊富で約10〜20%、ECGは約5〜10%、ECは約5〜10%を占めます。EGCGは、カテキン類の中で最も研究されており、強力な抗酸化作用と多様な生理活性を持つことが知られています。
カテキンは、フラバン-3-オール骨格を持つポリフェノールで、ヒドロキシ基(-OH)を複数持つため、強力な抗酸化作用を発揮します。特にEGCGは、ガロイル基を持つため、抗酸化能力が最も高くなっています。
カテキンの主な供給源は緑茶で、1杯(200ml)に約100〜200mgが含まれます。抹茶は粉末を丸ごと摂取するため、1杯に約200〜400mgと高濃度です。紅茶は発酵によりカテキンがテアフラビンに変換されるため緑茶より低濃度で、ウーロン茶は半発酵のため緑茶と紅茶の中間となります。その他の供給源として、ダークチョコレート(カカオ由来)、リンゴ(特に皮)、ベリー類(ブルーベリー、ブラックベリー、クランベリー)、赤ワイン(ブドウ由来)があります。緑茶エキスのサプリメントでは、カテキン含有量が50〜98%に標準化され、そのうちEGCGが30〜70%を占めます。
からだでの働きと科学的知見
カテキンは多様な生理機能が研究されており、特に抗酸化作用と代謝促進効果が注目されています。
カテキンの最も重要な機能は、強力な抗酸化作用です。EGCGをはじめとするカテキン類は、活性酸素種(ROS)を消去し、酸化ストレスによる細胞損傷を防ぎます。酸化ストレスは老化、慢性疾患、がんなど多くの健康問題に関与するため、抗酸化物質の摂取は健康維持に重要とされています。PMCカテキンの抗酸化作用は、ヒドロキシ基がフリーラジカルと反応する直接的ラジカル消去、鉄や銅などの金属イオンとキレートを形成する金属キレート作用、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)などの内因性抗酸化酵素を活性化するメカニズムによります。
カテキンは、カフェインとの相乗効果により、エネルギー消費量を増加させ、脂肪酸化(脂肪の燃焼)を促進する可能性があります。複数の研究で、緑茶エキス(高濃度カテキン)の摂取により安静時代謝率が3〜4%増加し、24時間のエネルギー消費量が増えることが報告されています。メカニズムとして、カテキンがカテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害し、ノルエピネフリンの分解を抑制することで、脂肪分解と熱産生が促進されると考えられています。PubMed
体重管理と体脂肪減少については中程度のエビデンスがあります。メタアナリシス(複数研究の統合分析)では、カテキン(緑茶エキス)の摂取により体重が平均0.7〜1.3kg減少し、特に腹部脂肪の減少が認められました。ただし、効果は個人差が大きく、運動や食事制限と組み合わせることでより効果的です。PubMed
カテキンは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制し、血管内皮機能を改善し、血圧をわずかに低下させる可能性があります。観察研究では、緑茶の定期的な摂取が心血管疾患リスクの低下と関連していることが示されています。
EGCGは血液脳関門を通過し、脳内で抗酸化作用を発揮します。動物実験や一部のヒト試験では、カテキンが記憶力、注意力、認知機能を改善する可能性が示されていますが、更なる研究が必要です。PMC
カテキンは、糖の吸収を遅らせ、インスリン感受性を改善する可能性があり、血糖値の管理に役立つ可能性があります。ただし、糖尿病患者への効果については一貫した結果が得られていません。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 抗酸化作用 | 高 | 細胞・動物・ヒト試験で確認、活性酸素消去 |
| 代謝促進 | 中〜高 | カフェインとの相乗効果、エネルギー消費増加 |
| 体重・体脂肪減少 | 低〜中 | メタアナリシスで軽度の効果、個人差大 |
| LDLコレステロール低下 | 中 | 複数の研究で軽度の低下を確認 |
| 血圧低下 | 低〜中 | 軽度の低下を示唆、降圧剤の代替にはならない |
| 認知機能改善 | 低〜中 | 一部で示唆、長期効果は不明確 |
摂り方とタイミング
緑茶から摂取する場合、緑茶(煎茶)1杯(200ml)でカテキン約100〜200mg、EGCG約50〜100mgが含まれます。抹茶1杯ではカテキン約200〜400mg(粉末を丸ごと摂取するため高濃度)となります。1日3〜5杯で、十分なカテキンを摂取可能です。緑茶を飲む際は、熱湯(80〜90℃)で1〜3分抽出すると、カテキンが効率よく抽出されます。
緑茶エキスサプリメントでは、250〜500mg/日(EGCG換算で約100〜250mg)が一般的です。初めて使用する場合は、少量(EGCG 100mg程度)から始め、体調を観察しながら調整してください。PubMed
摂取タイミングは朝・昼が一般的です。カフェインを含む緑茶やサプリメントの場合、夕方以降の摂取は睡眠を妨げる可能性があります。運動前30〜60分に摂取すると、脂肪燃焼効果が高まる可能性があります。食事と一緒または食後に摂取することが推奨されます。空腹時の大量摂取は、一部の人で吐き気や胃の不快感を引き起こす可能性があります。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| カテキン×カフェイン | ○ | 相乗効果で代謝促進、カフェイン感受性者は注意 |
| カテキン×ビタミンC | ○ | ビタミンCがカテキンの吸収を高める可能性 |
| カテキン×鉄分 | △ | カテキンが非ヘム鉄の吸収を阻害、時間をあける |
| カテキン×抗凝固薬 | △ | ビタミンK含有の可能性、ワルファリン服用者は注意 |
| カテキン×肝疾患 | △ | 高用量で肝機能への影響の懸念、既往歴者は注意 |
通常の推奨量(EGCG 300mg/日以下)では、副作用の報告は少ないです。高用量(EGCG 800mg/日以上)の長期摂取では、肝機能障害のリスクが報告されています。欧州食品安全機関(EFSA)は、EGCG 800mg/日以上の摂取で肝機能への影響の可能性を指摘しています。PubMed
鉄分の吸収を妨げる可能性があるため、鉄分サプリメントや鉄分豊富な食事とは時間をあけて摂取することが望ましいです。
食品から摂るには
緑茶の種類によってカテキン含有量が異なります。煎茶は最も一般的で、カテキン含有量は中程度(1杯100〜200mg)です。玉露は甘み重視のため、カテキン含有量は煎茶より低くなります。抹茶は粉末を丸ごと摂取するため、カテキン含有量が高く(1杯200〜400mg)なります。ほうじ茶・玄米茶は焙煎により一部カテキンが減少します。
その他のカテキン源として、ダークチョコレート(カカオ含量70%以上推奨)、リンゴ(皮ごと食べることを推奨)、ベリー類(ブルーベリー、ブラックベリー、クランベリー)があります。
日常的に緑茶を飲む習慣は、日本を含むアジア諸国で伝統的に健康維持に役立つとされてきました。観察研究では、緑茶を1日3〜5杯飲む習慣が、心血管疾患や一部のがんのリスク低下と関連していることが示されています。
