ハーブ・植物エキス

ブラックコホシュ|更年期のゆらぎが気になる人の選択肢

更年期を迎えた女性で体のゆらぎが気になる方に向けて、ブラックコホシュが更年期症状にどのように関与するかを、臨床研究の科学的根拠と安全性の注意点と共に解説します。

※ 主な作用: 女性バランスサポート

ハーブティーと自然素材が並ぶテーブル
Photo by Gaelle Marcel
摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

参考値

2080 mg(出典: 臨床研究エキス換算。更年期症状サポート

更年期を迎えて体のゆらぎが気になり始めた人に注目される植物由来の成分です。 ブラックコホシュ(Cimicifuga racemosa)は、北米原産のハーブで、更年期症状との関連で複数の臨床研究が行われています。 研究によって結果が異なり、安全性についても注意が必要ですが、選択肢の一つとして知られています。

  • 主な働き:更年期症状との関連で研究が行われている
  • 摂るタイミング:朝食時、1日あたり20〜80mg(エキス換算)
  • 相性:医師との相談が推奨される
  • 注意:肝臓への影響が懸念されており、長期使用は慎重に
  • 食品例:エキス製品として提供されている

ブラックコホシュとは

ブラックコホシュ(Cimicifuga racemosa、またはActaea racemosa)は、北米東部原産の多年草で、根茎部分が伝統的に利用されてきました。欧米では更年期症状との関連で研究が行われており、ドイツではRemifemin®という製品が長年使用されています。

日本では、厚生労働省が海外におけるブラックコホシュの利用に関する注意喚起を行っており、肝臓への影響が懸念されています。厚生労働省そのため、使用にあたっては医師や専門家に相談することが強く推奨されます。

臨床研究では20〜80mg程度のエキス換算量が用いられていますが、製品によって成分の標準化や抽出方法が異なるため、効果や安全性も製品ごとに異なる可能性があります。

からだでの働きと科学的知見

ブラックコホシュは、更年期症状との関連で複数の臨床研究が行われていますが、結果は研究によって異なります。

更年期症状との関連

84名の更年期早期の女性を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、ブラックコホシュの摂取により、更年期症状の総合スコア(Greene climacteric scale)が4週間および8週間の摂取で有意に減少したことが報告されています。PMC

一方、12ヶ月間の試験では、ブラックコホシュ群でほてり症状の減少率が34%であったのに対し、プラセボ群では63%、ホルモン療法群では94%であり、プラセボと比較して有意な差は見られませんでした。PubMed

2023年のメタアナリシスでは、22の研究と2,310名の更年期女性のデータを分析した結果、ブラックコホシュエキスは更年期症状の全体的な改善、ほてり、身体症状においてプラセボと比較して有意な関連が見られたと報告されています。PubMed

メカニズムと研究の課題

ブラックコホシュの作用メカニズムは完全には解明されていませんが、エストロゲン受容体への結合やセロトニン系への関与などが研究されています。ただし、研究によって使用される製品、品種、用量、抽出方法が異なるため、効果を正確に評価することが難しいとされています。PubMed

研究テーマ エビデンス強度 補足
更年期症状全般 研究によって結果が異なるPubMed
ほてり症状 低〜中 プラセボとの有意差が見られない研究もありPubMed
安全性 注意 肝臓への影響が懸念されている厚生労働省

摂り方とタイミング

ブラックコホシュの推奨量は、臨床研究で使用された量に基づき、1日あたり20〜80mg(エキス換算)程度とされています。食事と一緒に朝食時に摂取することが一般的です。

臨床研究では4週間〜12ヶ月の期間で評価されていますが、長期使用の安全性については十分なデータがないため、3〜6ヶ月程度の使用にとどめることが推奨される場合があります。

使用前には必ず医師や専門家に相談し、肝機能の状態を確認することが重要です。特に、既に肝臓の疾患がある方や、他の医薬品を服用している方は、使用を避けるか慎重に検討する必要があります。

栄養素どうしの関係と注意点

ブラックコホシュは他の成分や医薬品との相互作用に注意が必要です。

組み合わせ 推奨度 コメント
ホルモン療法 併用の安全性は十分に確認されていない
肝臓に負担がかかる医薬品 × 併用は避けることが推奨される厚生労働省
大豆イソフラボン 併用の研究もあるが、医師の相談が推奨される
アルコール 肝臓への負担を考慮し、過度の飲酒は避ける

注意点として、ブラックコホシュは肝臓への影響が懸念されており、欧州医薬品庁(EMA)や日本の厚生労働省が注意喚起を行っています。使用中に倦怠感、黄疸、腹痛などの症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し医師に相談することが重要です。

また、妊娠中・授乳中の方、ホルモン感受性の健康状態がある方は使用を避けることが推奨されます。

食品から摂るには

ブラックコホシュは北米原産の植物であり、日本の通常の食事から摂取することはできません。この成分を摂取する場合は、標準化されたエキスを含むサプリメントを利用することが一般的です。

製品によって成分の抽出方法や標準化の方法が異なるため、信頼できるメーカーの製品を選び、製品の表示や推奨量に従うことが重要です。また、使用前には医師や薬剤師に相談することが強く推奨されます。

よくある質問

Q. どのくらいの期間摂取すれば効果が期待できますか?

臨床研究では4週間〜12週間程度の摂取で評価されていますが、個人差が大きく、研究によって結果も異なります。長期使用の安全性については十分なデータがないため、3〜6ヶ月程度の使用にとどめ、継続する場合は医師に相談することが推奨されます。

Q. ホルモン療法と併用できますか?

ブラックコホシュとホルモン療法の併用については、十分な安全性データがありません。ホルモン療法を受けている方、または検討している方は、必ず医師に相談してください。自己判断での併用は避けることが推奨されます。

Q. 肝臓への影響はどのくらい心配すべきですか?

欧州医薬品庁や日本の厚生労働省が肝臓への影響について注意喚起を行っています。使用前には医師に相談し、使用中に倦怠感、黄疸、腹痛などの症状が現れた場合は直ちに使用を中止し医師の診察を受けることが重要です。厚生労働省

Q. プラセボ効果との違いはありますか?

研究によって結果が異なり、一部の研究ではプラセボとの有意な差が見られていません。メタアナリシスでは有意な関連が報告されていますが、個人差が大きく、すべての人に同じ結果が期待できるわけではありません。PubMed

Q. 他の更年期サポート成分と比べてどうですか?

大豆イソフラボン、レッドクローバー、マカなど、他にも更年期症状との関連で研究されている成分があります。それぞれに特徴と注意点があり、どれが最適かは個人の状態によって異なります。医師や専門家に相談して選ぶことが推奨されます。

Q. 男性が摂取しても問題ありませんか?

ブラックコホシュは主に女性の更年期症状との関連で研究されており、男性における安全性や有用性についてのデータは限られています。男性が摂取する場合は、必ず医師に相談することが推奨されます。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。