伝統的な補気ハーブとして知られるアストラガルス(黄耆)は、体力が落ちたときの底支えに選ばれてきました。
現代の研究でも腎・免疫・疲労ケアへの応用が進みつつありますが、免疫抑制療法中の方などは使用に注意が必要です。
標準化エキスを適量守って継続し、食事・睡眠・運動を整える土台づくりと併用しましょう。
- 主な働き:免疫調整・疲労対策・血糖サポート
- 摂るタイミング:朝夕の食後に250〜500mg(エキスの場合)または煎じ茶1日2回
- 相性:ビタミンC・食物繊維・オメガ3と免疫・代謝ケアを補完
- 注意:免疫抑制薬・抗凝固薬との併用、自己免疫疾患や妊娠中は医療職と要相談
- 食品例:乾燥黄耆を煎じたハーブティー、スープへの煎じ液追加
アストラガルスとは
マメ科の多年草で、根を乾燥させて用います。多糖体、サポニン(アストラガロシド)、フラボノイドなどを含み、伝統的に「気」を補うハーブとされています。
からだでの働きと科学的知見
糖尿病性腎症患者を対象にしたメタ解析では、アストラガルスが腎機能と血糖指標を改善する補助療法になり得ると報告されています。PubMed代謝症候群への応用をまとめたレビューでは、アストラガルスが抗酸化・抗炎症・血糖調節作用を通じて代謝改善に寄与する可能性が示されています。PubMed がん関連疲労の無作為化試験をまとめたレビューでも、黄耆を含む処方が疲労スコアを改善したとされています。PubMed 慢性疲労症状を抱える成人を対象に、アストラガルスや鹿茸を含む複合エキスが疲労と生活の質を改善したランダム化二重盲検試験もあります。PubMed 抗ウイルス・抗炎症など免疫調整の研究も進んでいますが、自己免疫疾患や免疫抑制療法中の方は慎重な判断が求められます。PubMedアストラガルス多糖体は免疫調整薬として、マクロファージ活性化や炎症性サイトカイン調節を通じて免疫応答を調整する作用が包括的レビューで報告されています。PubMed
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 糖尿病性腎症 | 中 | 腎機能と血糖指標を改善 |
| がん関連疲労 | 低〜中 | 疲労スコアを改善 |
| 慢性疲労症状 | 低 | 複合エキスで生活の質向上 |
| 免疫調整 | 低 | システマティックレビューで可能性 |
摂り方とタイミング
標準化エキスは1日合計500〜1,000mg(アストラガロシド含有)を朝夕に分ける使い方が一般的です。
乾燥根は10〜15gを水で30分以上煎じ、スープやハーブティーとして飲用する伝統的な方法もあります。
胃が弱い場合は食後に摂り、2〜3か月継続したら体調と血液検査を確認して使用を調整してください。
栄養素どうしの関係と注意点
ビタミンCや食物繊維と併用すると、腸からの免疫バランスが整いやすくなります。ビタミンCの記事、β-グルカンの記事も参照してください。
EPA/DHAなど抗炎症性脂肪酸と合わせると、代謝・血管ケアが多角的に進められます。フィッシュオイルの記事参照。
免疫抑制薬(シクロスポリンなど)、抗凝固薬、血糖降下薬と併用する場合は相互作用の可能性があるため医療職に相談しましょう。
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| アストラガルス×ビタミンC | ◎ | 免疫サポートを補完 |
| アストラガルス×オメガ3 | ○ | 炎症バランスを多方面でケア |
| アストラガルス×免疫抑制薬 | △ | 薬効を打ち消す恐れがあるため医療職と判断 |
食品から摂るには
乾燥黄耆を煎じたスープやハーブティーにすれば、日常の食事で取り入れやすくなります。
粉末やカプセルは濃度が安定しているため、品質試験済みの製品を選びましょう。
アレルギーが出ることは稀ですが、初めて使う際は少量から様子を見てください。
