眼疲労や運動パフォーマンスが気になる人に向けたカロテノイド色素です。アスタキサンチンは、サケやエビなどに含まれる赤色の天然色素で、ヘマトコッカス藻から抽出されます。独特の分子構造により、細胞膜の内側と外側の両方で活性酸素を消去する強力な抗酸化作用を持ち、眼疲労の軽減や運動時の心拍数低下に関与することが研究で示されています。
- 主な働き:強力な抗酸化作用、眼疲労の軽減、運動時の心拍数低下
- 摂るタイミング:朝食時に、脂質と一緒に
- 相性:脂溶性のため油脂と一緒に摂取
- 注意:一般的に安全、抗凝固薬使用時は医師に相談
- 食品例:サケ、エビ、カニ、ヘマトコッカス藻サプリメント
アスタキサンチンとは
アスタキサンチンは、独特の分子構造により強力な抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用を持ちます。PMCほとんどの抗酸化物質と異なり、アスタキサンチンは細胞膜の二重層を貫通し、内側と外側の両層で活性酸素(ROS)を消去することで酸化ストレスから保護します。
からだでの働きと科学的知見
アスタキサンチンの主な働きは、眼疲労の軽減と運動パフォーマンスの維持の2つに大別されます。
眼疲労と視機能への影響
VDT作業を定期的に行う健康な成人60名を対象とした試験では、アスタキサンチン9mg/日を6週間摂取した40歳以上の参加者において、VDT作業後の矯正視力が有意に保護されました(p<0.05)。PMC
スクリーンタイムが1日4時間以上の小児64名を対象とした84日間の試験では、アスタキサンチン4mg/日の摂取により、CVS-Qスコアがベースラインから-4.00±4.05点改善し(p<0.0001)、プラセボ群と比較して群間差20%が認められました。PubMed
アスタキサンチンが毛様体筋に弛緩効果をもたらし、網膜毛細血管の血流を増加させ、毛様体のNF-kBを減少させることが、この効果のメカニズムと考えられています。PMC
運動パフォーマンスへの影響
アスタキサンチンの補給は、活動的なランナーや過体重の個人において運動時心拍数を低下させることができます。そのメカニズムは、運動中の交感神経系を調節し心筋細胞を過分極させる能力によるものと考えられます。PMC
アスタキサンチン摂取時は全身の脂肪酸化率が高く、運動中の脂肪利用が増強されることが示唆されています。21名の競技サイクリストを対象とした試験では、天然アスタキサンチン4mg/日の摂取によりサイクリングタイムトライアルのパフォーマンスが平均5%向上しました。ただし、ヒトでの効果は一貫していないため、さらなる研究が必要です。
| 研究テーマ | エビデンス強度 | 補足 |
|---|---|---|
| 眼疲労の軽減 | 高 | 複数の臨床試験で効果確認 |
| 視機能の保護 | 中 | VDT作業者で効果報告 |
| 運動時心拍数低下 | 中 | 一部の研究で効果報告 |
| 安全性 | 高 | GRAS認定、良好な忍容性 |
摂り方とタイミング
臨床研究では、1日4〜12mg程度のアスタキサンチンが使用されています。朝食時に脂質と一緒に摂取することで、脂溶性のアスタキサンチンの吸収が向上します。効果は4週間から12週間程度の継続使用で観察されることが多いため、継続的な摂取が推奨されます。
栄養素どうしの関係と注意点
| 組み合わせ | 推奨度 | コメント |
|---|---|---|
| ビタミンE | ○ | 脂溶性抗酸化を相互に支える |
| DHA・EPA | ○ | 脂質と一緒に吸収が向上 |
| 抗凝固薬 | △ | 出血リスク増加の可能性、医師に相談 |
| 降圧薬 | △ | 血圧低下作用の可能性、医師に相談 |
アスタキサンチンは一般的に安全で、FDA はGRASに指定しています。87件のヒト研究では、重大な副作用は報告されていません。PubMed最も多い副作用は、排便回数の増加や便の赤色化などの軽度のものです。妊娠中・授乳中は使用を避けてください。
サプリメントとして摂るには
アスタキサンチンは以下の形態で利用されます:
- ヘマトコッカス藻由来サプリメント:天然アスタキサンチン4〜12mg含有(1日1〜2カプセル)
- ソフトカプセル形態:油脂と組み合わせて吸収を向上
- 複合サプリメント:ルテインやゼアキサンチンとの組み合わせ
天然アスタキサンチン(ヘマトコッカス藻由来)と合成アスタキサンチンは化学的に異なるため、天然由来の製品を選択することが推奨されます。
