ハーブ・植物エキス

アンドログラフィス(センシンレン)|免疫と上気道の健康が気になる人の植物エキス

免疫の健康や上気道の不調が気になる方に向けて、アンドログラフィス(センシンレン)が免疫機能や上気道感染症にどのように関与するかを、臨床研究の科学的根拠と共に解説します。

※ 主な作用: 免疫サポート、抗炎症

新鮮な野菜とナチュラルフード
Photo by hobi industri
摂取基準値
RDA(推奨量)mg
AI(目安量)mg
UL(耐容上限量)mg

日本人の食事摂取基準では基準値未設定

免疫と上気道の健康が気になる人に注目される伝統的な植物エキスです。 アンドログラフィス(Andrographis paniculata、和名:センシンレン)は、インドや東南アジアで伝統的に利用されてきた植物で、主要成分アンドログラフォライド(andrographolide)が免疫調整機能や抗炎症作用との関連で研究されています。 システマティックレビューでは、上気道感染症の自覚症状の軽減においてプラセボよりも優れていることが報告されています。

  • 主な働き:免疫サポート、上気道の健康維持、抗炎症作用
  • 摂るタイミング:朝食時・夕食時、食事と一緒に
  • 相性:ビタミンC、亜鉛、エキナセア
  • 注意:妊娠中・授乳中の方は避ける
  • 食品例:サプリメントとして提供されている

アンドログラフィスとは

アンドログラフィス(Andrographis paniculata、和名:センシンレン)は、キツネノマゴ科の一年草で、インド、中国、東南アジア(タイなど)で伝統的に利用されてきた植物です。アーユルヴェーダや漢方医学では、「天然の抗生物質」として数世紀にわたり用いられてきました。

主要な成分は、ジテルペンラクトン類のアンドログラフォライド(andrographolide)で、葉や茎に約1〜4%含まれています。このアンドログラフォライドが、免疫調整機能、抗炎症作用、抗ウイルス作用との関連で注目されています。

サプリメントとしては、地上部(葉・茎)のエキスが使用され、アンドログラフォライド含有量(通常10〜30%)に標準化された製品が一般的です。臨床研究では、1日あたり300〜1,200mg程度のエキスが用いられています。

からだでの働きと科学的知見

アンドログラフィスは、免疫機能、上気道感染症、抗炎症作用との関連で研究されています。

上気道感染症との関連

2004年に発表されたシステマティックレビューでは、無作為化対照試験のデータを統合した結果、アンドログラフィス・パニキュラータは未合併の上気道感染症の自覚症状の軽減においてプラセボよりも優れていることが示されました。また、予防的な関与を示す予備的な証拠も認められました。PubMed

アメリカ家庭医学会(AAFP)の風邪のガイドラインでは、センシンレンは成人の風邪の持続期間や重症度の維持に関与しうるとされており、ある対照試験では上気道感染症の症状の維持に関与する根拠があるとされています。

免疫調整機能

健康な成人を対象としたオープンラベル研究では、アンドログラフィス・パニキュラータエキスの免疫調整作用が評価されています。

エタノール抽出物および精製ジテルペンアンドログラフォライドは、抗体および遅延型過敏反応の有意な刺激を誘導し、マクロファージ遊走および食作用の観点から測定される非特異的免疫応答も刺激しました。

抗炎症作用

アンドログラフォライドは、侵襲性微生物の病原因子を阻害し、宿主免疫を調節することが報告されています。対照臨床試験では、アンドログラフィス・パニキュラータ治療が急性呼吸器感染症に対して安全かつ有用であることが明らかになりました。

関節リウマチを対象としたランダム化プラセボ対照試験では、アンドログラフィス組成物が関節リウマチ症状の緩和に関与する可能性が報告されています。PubMed

安全性評価

2021年に発表されたシステマティックレビューとメタアナリシスでは、重篤な有害事象の発生率は非常にまれで、1,000患者あたり0.02の発生率であったと報告されています。PubMed

研究テーマ エビデンス強度 補足
上気道感染症 系統的レビューで自覚症状軽減を確認PubMed
免疫調整機能 抗体応答・食作用の刺激を確認
抗炎症作用 関節リウマチ試験で症状緩和を確認PubMed
安全性 重篤な有害事象0.02/1000患者PubMed

摂り方とタイミング

アンドログラフィスの推奨量は、臨床研究で使用された量に基づき、エキスとして1日あたり300〜1,200mg程度とされています。製品によってアンドログラフォライド含有量が異なるため、製品の表示に従うことが重要です。

食事と一緒に朝食時・夕食時に分割して摂取することが一般的にすすめられます。空腹時の摂取は胃腸への負担が増える場合があるため、食後または食事中の摂取が推奨されます。

臨床研究では4〜12週間程度の継続摂取で評価されていますが、上気道感染症の症状がある場合は3〜5日間の短期使用も報告されています。長期的な安全性については、さらなる研究が必要です。

栄養素どうしの関係と注意点

アンドログラフィスは他の成分との組み合わせで相乗効果が期待できます。

組み合わせ 推奨度 コメント
ビタミンC 免疫の健康維持との相乗効果が期待される
亜鉛 免疫機能サポートとの関連
エキナセア 免疫サポートとの併用が一般的
エレウテロ(シベリア人参) アダプトゲンとの併用で免疫サポート

注意点として、アンドログラフィスは苦味が非常に強いため、「インドの王様の苦薬」と呼ばれます。サプリメントは通常カプセル化されていますが、味に敏感な方はカプセルタイプを選ぶことが推奨されます。

妊娠中・授乳中の方は、安全性に関する十分なデータがないため、使用を避けることが推奨されます。また、抗凝固薬(ワルファリンなど)、免疫抑制剤、降圧薬との相互作用が懸念されるため、これらの薬を服用している方は医師に相談することが推奨されます。

食品から摂るには

アンドログラフィス(センシンレン)は、日本の通常の食事からは摂取できません。この成分を摂取する場合は、サプリメントを利用することが一般的です。

製品には、以下のタイプがあります:

  • エキス粉末カプセル:アンドログラフォライド含有量(10〜30%)に標準化
  • タブレット:固形化された製品
  • ハーブティー:苦味が強いため、ハチミツなどで調整が必要

臨床研究で使用されている製品は、アンドログラフォライド含有量が標準化されたエキスです。製品を選ぶ際は、以下の点に注意してください:

  • アンドログラフォライド含有量が明示されている製品を選ぶ
  • 地上部(葉・茎)のエキスであることを確認
  • 第三者機関による品質認証がある製品を優先

信頼できるメーカーの製品を選び、製品の表示や推奨量に従うことが重要です。

よくある質問

Q. どのくらいの期間摂取すれば良いですか?

上気道感染症の症状がある場合は、3〜5日間の短期使用が報告されています。免疫サポート目的では、4〜12週間程度の継続摂取が臨床研究で評価されています。長期的な安全性については、さらなる研究が必要です。症状の改善が見られない場合は、医師に相談してください。

Q. 風邪の予防に使えますか?

システマティックレビューでは、予防的な関与を示す予備的な証拠が認められています。ただし、エビデンスのレベルは限定的であり、予防目的での長期使用については、さらなる研究が必要です。風邪の季節に短期的に使用することが一般的です。

Q. 副作用はありますか?

臨床試験では重篤な副作用の報告は非常にまれ(1,000患者あたり0.02)とされています。一般的には安全性が高いとされていますが、まれに胃腸の不快感、下痢、頭痛、皮膚の発疹、疲労感などが報告されています。製品の推奨量を守り、異変を感じた場合は使用を中止し医師に相談してください。

Q. 苦味が強いと聞きましたが、飲みやすくする方法はありますか?

アンドログラフィスは非常に苦味が強いため、「インドの王様の苦薬」と呼ばれます。カプセルタイプのサプリメントを選ぶことで、苦味を避けることができます。ハーブティーとして飲む場合は、ハチミツやレモン、生姜などを加えることで飲みやすくなります。

Q. エキナセアとどう違いますか?

エキナセアもアンドログラフィスも免疫サポートとの関連で研究されていますが、作用機序が異なります。エキナセアは免疫細胞の活性化との関連が報告されており、アンドログラフィスはアンドログラフォライドによる抗炎症作用や抗ウイルス作用との関連が報告されています。両者を併用することも可能です。

Q. 妊娠中・授乳中でも摂取できますか?

妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがありません。動物実験では、高用量で抗着床作用が報告されているため、妊娠中・授乳中の方は使用を避けることが推奨されます。

Q. 子供が摂取しても大丈夫ですか?

子供における安全性と有用性については、十分なデータがありません。子供に摂取させる場合は、必ず医師に相談することが推奨されます。

Q. どのくらいの期間で効果を実感できますか?

上気道感染症の症状がある場合は、3〜5日間の短期使用で変化を実感する可能性があります。免疫サポート目的では、個人差が大きく、2〜4週間程度の継続が推奨されます。すべての人に同じ結果が期待できるわけではありません。

Q. 免疫抑制剤を服用していますが、摂取できますか?

アンドログラフィスは免疫調整機能との関連が報告されているため、免疫抑制剤との相互作用が懸念されます。免疫抑制剤を服用している方は、必ず医師に相談することが推奨されます。自己判断での併用は避けてください。

本ページは公開資料や専門書を参考に要約した成分ガイドです。サプリメントを使用する際は医師・薬剤師など専門家の助言もあわせてご確認ください。